盛岡タイムス Web News 2013年  4月 30日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉173 及川彩子 人気のフィオリスト

     
   
     

 ここアジアゴも、夜8時過ぎまで真っ青な空が広がる若葉の季節になりました。夕食後、街に人が繰り出し、通りは大にぎわいです。

  ウインドーショッピングの中でも、ひときわ目を楽しませてくれるのが花屋。色鮮やかに創意工夫した花束の数々…まるで宝石箱をのぞくようです。

  フラワーアレンジメントの本場はヨーロッパ。その歴史は古く、病気や魔除けに使われていたエジプト時代、すでにドライフラワーが誕生していました。古代ギリシャでは、花を花瓶に入れるのではなく、オリンピック勝者のシンボル・月桂樹の冠に象徴されるように、「永遠」の意味を持つリース仕立てが主流でした。ローマ時代になると花は、優雅に床やベットに敷き詰められました。

  その後、ベネチアガラスの発展により、ガラス花瓶に花を飾る習慣が庶民にも浸透、ヨーロッパ中に広まったと言われます。

  今は冠婚葬祭や記念日の贈り物として欠かせないのが花束。イタリアでは、アレンジの職人を「フィオリスト」と呼んでいます。

  植物の基礎を専門高校で5年間学び、さらに美術大学で技術を修めフィオリストになると「マエストロ」の資格が与えられます。

  フィオリストは、花を贈る習慣が根付いているイタリアでは、男女問わず人気職。アジアゴで、私たち家族と親しいフィオリスト・アドリアーナさん〔写真〕は、街の中心にアトリエを構えて連日大忙しで、注文に応え、納得いくアレンジまでの時間は惜しみません。

  先日も、オルガニストの友人の誕生日祝いの花束を頼みに行くと、荘厳なパイプのイメージに仕上げてくれました。両手に抱えるほどのボリュームで3千円ほど。

  最近、世界一の花市場・オランダのフローラホランドから、「経済危機にもかかわらず市民が花にお金をかける国はイタリア」との報告がありました。花文化の習慣を支えるフィオリストたちに、人々は慰められてきたのです。


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