盛岡タイムス Web News 2013年  5月 3日 (金)

       

■  かるたで防災心得 児童の防災意識向上へ 岩手大地域防災研究センター 地震や津波に備え作製

     
  岩手大学地域防災研究センターが作製した地震防災かるたを持つ山本英和准教授  
   岩手大学地域防災研究センターが作製した地震防災かるたを持つ山本英和准教授
 

 岩手大学地域防災研究センター(堺茂樹センター長)は、防災意識の向上を目的とした地震防災かるたを作製した。「あっゆれだ 身の安全 確保しよう」「いえの中 家具転倒の チェックしよう」など、地震や津波、日常の災害への備えを児童にも分かりやすく表現したかるた。児童が防災への興味を持ち続けられる教材としての活用を見込む。

  東日本大震災津波では沿岸部を中心に甚大な被害が発生した。そうした中、過去の教訓を守って高台に移っていたり、避難訓練や防災訓練を綿密にやっていたおかげで逃げられた人が多かった地域もあった。同大工学部社会環境工学科の山本英和准教授は「(そうした地域では)防災意識が高く、ハードでは全部できないのでソフト対策に力を入れていた。頭ではなく、体で動いていた」と話す。

  こうした現状を踏まえ、山本研究室の熊谷瞳さん(当時工学部4年)を中心に、次代を担う子どもたちが体験しながら地震防災を学べる教材について考えてきた。紙芝居やプレートのメカニズムを表現した模型など複数の案から、意識を高めるために児童が飽きずに関心を持ち、取り組めるかるたを作製することを決めた。

  読み札は工学部の学生が考え、絵札は教育学部芸術文化課程美術デザインコースの学生が制作した。児童が使用することを考え、危機感や圧迫感を持たせつつ、恐怖感やショックを与えないように津波に巻き込まれるシーンなどは使用せず、温かみのある色使い、全ての人に受け止められる絵に配慮した。

  研究室を訪れた高校生からの意見を踏まえ、児童に分かるように言葉の表現を変えたり、絵札を救助する側の視点から救助される側の視点に変更するなど、試行錯誤しながらかるたを完成させた。

  完成後は、市内の児童館や学童クラブで児童にかるたで遊んでもらった。かるたの文言や絵を理解してもらうため、1回は読まれた文章を聞く工夫をした結果、非常食とは何かを聞きに来るなど自発的に防災について学ぼうとする姿勢が児童に見られた。児童の多くが楽しみながら、飽きることなくかるたを体験したという。

  山本准教授は「自発的に知ろうとする行動が出てきたこと、文言を覚える子が多かったことは、かるたの力。勉強するときに、目で見て音で聞いて自分で書いて二重三重にやれば分かるように、少なくとも視覚と聴覚の両方あるのが、かるたのいいところ」と防災教育へのかるた活用の利点を挙げた。

  同センターでは今回、防災かるたを100個作製。今後の活用方法については現在検討中だが、モニターとして使用後の意見や感想を得られる児童館や学童クラブ、学校などに優先的に配布したいと考えている。


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