盛岡タイムス Web News 2013年  5月 13日 (月)

       

■  ヤマニ醤油が海外販売 盛岡事務所拠点に新たな展開 売り上げは震災前に回復 新沼社長に今後の展望を聞く

     
  盛岡事務所で構想を練るヤマニ醤油の新沼茂幸社長  
 
盛岡事務所で構想を練るヤマニ醤油の新沼茂幸社長
 

 陸前高田市のヤマニ醤油(新沼茂幸社長)は東日本大震災津波で全壊したため、2011年6月、盛岡市大沢川原に盛岡事務所を開設。本部機能を持たせて、復興への戦略を展開してきた。震災から2年が経過し、売り上げは震災前の水準にぼぼ回復。この2月からは、業務用を香港に輸出しており、新たな動きも加速する。

  同社は、1868(明治元)年創業の醸造会社。大震災で自宅、会社、蔵も全て全壊したが、新沼社長はじめ、8人の従業員とも避難し、命は無事だった。

  その後、盛岡に事務所を構え、復興への戦略を構築。新沼社長は「盛岡には25年前から年に数回は来て、御用聞き販売でヤマニ醤油を広めた。今、約千軒がお得意先」と言う。

  盛岡事務所立ち上げから、新たなビジネスモデルの構築を開始した。花巻市の佐々長醸造(佐々木博社長)に醸造を委託。同事務所、新設したヤマニ陸前高田営業所では、同社の伝統的な御用聞き商売をベースに販売。最近は通信販売、価格を維持した小売店舗販売なども行っている。

  新沼社長は「これまでの経営は終わり。御用聞きは残しながら、新たなビジネススタイルを築きたい。さまざまな人の力を借り連携した新たな仕事のスタイルを目指す」と言
う。

  商品は現在、「ほんつゆ」(1g、945円)、「白だし」(同、945円)、「上級醤油」(同、420円)、「薄口醤油」(1・8g、680円)、「天使のしょうゆ」(1g、630円)の5種類。「天使のしょうゆ」のラベルは、イラストレーターのやなせたかしさんが無償で、デザインした。

  この2年間で、盛岡市内では、パルクアベニューカワトク、アネックスカワトク、らら・いわて、クロステラスMORIOKA、ななっくなどで販売。いずれも同じ価格。

  新沼社長は「ヤマニの味は、やさしさ、親しみやすさ。確かに派手でないが、当社の利用者から話を聞きながら、当社独自の味を提供してきた。この味は崩さない」とキッパ
リ。「さまざまなイベントでも販売してきた。商品数はまだ震災前より少ないが、さまざまな人が関わり、どうにか売り上げを出し、震災前の水準までに」と言う。

  2月からは、ワタミ(本社東京都、桑原豊社長)のグループ会社の香港店(日本料理店13店)向けの業務用の「すき焼き割下」(18gパック詰め)を輸出した。新沼社長は「震災後にワタミが被災地のために開いた勉強会に出席したことが契機になり、発売することになった。香港では年中、すき焼きを食べる習慣がある。既に、船便で2回、商品を輸出した。これからもっと海外ルートも広げたい」と力を入れる。

  2017年の創業150年(創業年を加えて計算)に、公益財団法人の設立を計画。故郷陸前高田の子どもたちのための図書館建設などに力を入れる構想を掲げる。新沼社長は「陸前高田のまちづくりは、まだまだこれから。当社で収益を挙げ、これから故郷を担う子どもたちのために、貢献したい。当面は、盛岡でさらなる発展のための構想を練り、新たな展開を行う」と話していた。


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