盛岡タイムス Web News 2013年  5月 14日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉174 及川彩子 ルナパークが来たよ

     
   
     

 新緑まぶしい5月、イタリアの子どもたちは、学年末の行事や進級テストなどで大忙し。そんな中、子どもたちにホッと一息つかせるのが「ルナパーク」。

  「ルナパーク」は、移動式遊園地のことで、大規模テーマパークの少ないイタリアでは、この時期になると、山ほどの移動遊戯を積んだ大型トレーラーが各地を回ります。郊外の広大な広場に限らず、町の中心広場、教会前など、どんな小さな町にも出向いて夢の空間を造り出すのです。

  遊戯物はイタリア語で「ジオストラ」。メリーゴーランド・ゴーカート・観覧車・ジェットコースター・巨大ブランコ・フライングターペットなどのことです。

  もともとは、中世の市民の娯楽・馬上槍競技のことでしたが、今では、遊園地の乗り物を意味するようになったのです。

  街にトレーラーが着くや否や、あっという間にジオストラを組み立ててしまう専門職人たち。ここアジアゴ近郊の小さな町カノーヴェの広場にも、4月末から10日間、ルナパークが設置されました。周辺の学校に割引券が配られ、子どもたちは大喜び。

  わが家の次女も早速、友達と一緒にルナパークに出かけました。大規模ではありませんが、観覧車から見るカノーヴェには爽やかなアルプス高原が広がり、谷間には、子どもたちの「空飛ぶじゅうたん」との歓声が響き、つかの間の夢空間を世代を超えて楽しむのでした。

  北イタリアに、これを地場産業として興し、大成功した町があります。町を挙げて工場を設立、一日で組み立てられるよう工夫した遊戯物を、家族単位でトラックに積み、各地を巡回するのです。古き時代のサーカス巡業を思わせる光景が残っているのです。

  突然、街に現れて、突然消えていく…そんなイタリアのルナパークに、夢世界の情緒を感じるのは、私だけではないのかもしれません。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします