盛岡タイムス Web News 2013年  5月 19日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉37 菅森幸一 「打ち釣り」

     
   
     

 松尾鉱山の鉱毒で北上川が真っ赤に染まって流れていた頃、開運橋の数十b下流の大沢川原寄りに大きなトンネルが口を開けていた。これは内丸・仁王地域と菜園地域を区分した赤川堰の支流が今の七十七銀行付近から地下にもぐり北上川に注ぐ下水溝の出口だった。

  ここにはコウモリの巣があり、ジジたちの冒険心を大いに駆り立てたが、それにも増して大量のごみが流れ出すこの場所は絶好の釣りのポイントで、藤の花が咲く頃になると多くのへザッコ(ハヤ・ウグイの俗称)が婚姻色の朱色をきらめかして餌をあさりに殺到するんだ。

  趣味と実益を兼ねた素晴らしい遊び場に恵まれたジジは、釣り道具を手に朝夕飽きずに通い詰めた。特にも水温が上がると魚たちの大好物の「ボウフラ」が大量に発生する。ジジたちはボウフラに似せて、赤い絹糸を針に巻いた疑餌針を作り、短い竿(さお)で規則的に水面をたたいて釣る「打ち釣り」という独特の方法で面白いように釣り上げたものだ。

  何しろ川ザッコは当時の貴重な動物たんぱく源だったから、家に帰ると釣り上げた魚を前に鼻高々だったよ。


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