盛岡タイムス Web News 2013年  5月 22日 (水)

       

■  岩手魚類、事実上廃業へ 盛岡水産に事業譲渡 苦渋の決断 得意先失い震災追い打ち

 盛岡市中央卸売市場に入居する水産物卸業の岩手魚類(同市羽場、藤田光孝代表取締役社長)が事業を有償譲渡することが21日、分かった。同業の盛岡水産(同、佐賀政司代表取締役社長)と譲渡契約を結び、7月1日付で事業を継承。市場外流通の増加や得意先の小売り店を失うなど苦戦を強いられ、売上高が年々減少。藤田社長は「関係者に迷惑をかけないよう決断せざるを得なかった」と説明する。同社事実上の廃業というニュースに、関係者に衝撃が走っている。

  岩手魚類は1970(昭和45)年7月創業で旧市場開設時から営業。2001(平成13)年度の同市羽場の現市場完成とともに移転した。ピーク時で100億円規模だった売上高は年々減少し、01年度に約83億円、12年度は約43億円まで縮小した。

  藤田社長によると、売上高減少の原因はダイエー、ファル、中三、サティなどが相次いで撤退、廃業し、大きな得意先を失ったこと。売買参加者の地域の鮮魚商の減少も相次ぎ、経費が重荷になった。

  その後、県と協力して三陸産の新商品開発と市場開拓に励み、努力を重ねた。そこへ11年3月の東日本大震災津波が発生。産地の回復の遅れや小売り競争による販売価格の低下などが苦しい経営に拍車を掛けたという。

  これらから今後の事業継続が困難と判断。約1カ月前から盛岡水産と交渉に入った。藤田社長はじめ役員3人、従業員22人全員が引き継がれれば合併の道もあった。交渉の結果、事業譲渡の方法に決まった。

  今月中に譲渡契約される予定で、6月29日までは通常通り営業。売掛金の回収をはじめ清算などの業務が残っており、廃業時期は未定。開設者の市では、できるだけ引き継いだ雇用をするよう盛岡水産に要請している。藤田社長の廃業後の進路は決まっていない。

  市中央卸売市場では2002年に青果物卸1社が破産・撤退し、丸モ盛岡中央青果1社体制となった。今度は水産物卸の岩手魚類廃業により、盛岡水産の1社体制になる。青果、水産いずれも卸1社になる。

  市によると、事務所は岩手魚類分のスペースが空く。1階の水産卸売場については事業継承により、これまで通りスペースが活用されるとの考えでいる。「盛岡水産に出荷者、売買参加者が引き継がれる。基本的に事業は変わらないと思っている」と話している。

  市場に関しては現市場整備に伴い多額の借金を抱え、経営の健全化が求められ、07年に市場活性化ビジョンが策定された。市場関係者が一体となって活性化に取り組んできた。昨年には新ビジョンも策定され、地方市場化せずに中央市場の維持も決めた。

  市場外流通の増加など流通業界の変化に対して、入居業者が支払う施設使用料を正規よりも緩和する支援を継続している。藤田社長は「ビジョンの達成は自らの事業だけでなく市場全体の事業改善が必要になる。われわれとしては相手(得意先)が必要だった」と無念さをにじませていた。
 


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします