盛岡タイムス Web News 2013年  5月 23日 (木)

       

■  岩手山の里にゲル(移動式住居) 宿泊で友好と文化交流を 滝沢モンゴル村26日開村 岩大卒のラオグジャブさん 震災受け帰国返上し開設

 

     
   ゲル宿泊でモンゴル文化に触れる機会を提供するムンフバット・ラオグジャブさん  
   ゲル宿泊でモンゴル文化に触れる機会を提供するムンフバット・ラオグジャブさん
 

 滝沢村鵜飼字安達の相の沢温泉「お山の湯」敷地内に26日、岩手山悠久の里滝沢モンゴル村が開村する。日本とモンゴルとの友好と文化交流を目指し、今春岩手大学を卒業したモンゴル出身のムンフバット・ラオグジャブさん(27)が開設。モンゴル遊牧民の伝統的な移動式住居ゲルでの宿泊が体験できる。

  ラオグジャブさんは大学卒業後、モンゴルに帰って仕事をしようと思っていた。その思いを変えたのは2011年の東日本大震災津波だった。「震災の後に沿岸の被災した人たちが体育館に避難しているのをテレビで見た。モンゴルのゲルは2時間あれば建てられる。体育館の脇に建てられれば役に立てる」。実現はしなかったが、被災地にゲルを建てたいという思いが強くなった。

  沿岸部で建設場所を探したが難しく、滝沢村に打診したところ、村有地を借りられることになった。「モンゴルという国に、こういう文化で暮らしている民族がいることを知ってもらえたらうれしい」。まずは、モンゴルの文化を岩手の人に知ってもらう機会をつくることにした。

  ゲルは、木の骨組みに羊のフェルト、防水シートをかぶせた造り。丸い構造は、風の強いモンゴルの気候に適し、熱が均等に伝わり室内がすぐに暖まりやすいという。モンゴルでは冬の気温が氷点下30、40度まで下がるため、ゲルは羊のフェルトを二重三重にして熱が逃げないようにする。このため岩手県の寒さにも耐えられる。夏場は外壁の下をまくり上げることで、風通しが良くなり涼しく過ごせる。

  室内の骨組みにはオレンジや赤を使ったカラフルな模様が描かれ、暖かさを感じさせる。中央にはまきストーブが置かれ、太陽光が入るように天窓も設けられている。ラオグジャブさんは「モンゴルは丸い文化と言われ、ストーブを囲みながらみんなで話す。ゲルは丸い地球の丸い家。地球と同じように太陽を浴びて目覚める」とゲルの特徴を話す。

  4月13日からゲルの設営を始めた。通常、遊牧民は土の上に直接建てるため、数時間で簡単に完成する。日本は雨や雪が多いため、今回は地面を平らにならし、ゲルを設置する土台をコンクリートで組んだ上で設営した。

     
  お山の湯敷地内に26日開村する滝沢モンゴル村  
 
お山の湯敷地内に26日開村する滝沢モンゴル村
 


  設営した5棟のうち、4棟は宿泊施設、1棟は事務所とモンゴルの物産販売に使用する。食事と入浴は隣接するお山の湯を利用。夏場のイベント時などには、バーベキューやモンゴル料理の提供なども検討している。

  設営は岩手モンゴル友好協会、モンゴル人の仲間などがボランティアで手伝った。同協会会員の大橋渉一さん(65)もほとんど毎日現場での作業に従事した。「重機を貸してくれる人、トラックを貸してくれる人と、多くの人に恵まれてここまできた。ムンフバットを前から見ている人たちが彼の人柄にひかれて手伝った。モンゴルの文化から日本人が学ぶこともたくさんある。大きな利益はなくてもモンゴルの文化が多くの人に伝われば」と話した。

  ゲルの室内には、3〜4台のベッドが置かれ、家族で宿泊できる。ラオグジャブさんは「日本、世界どこでも家が大きくなり、家族が小さくなっている。この小さな空間の中に家族で泊まってもらい家族の距離を縮め、もう一度、家族というものを感じてほしい」と自国の文化を通し、改めて家族の絆が深まることに期待する。

  ゲルの宿泊料金は大人6000円(宿泊、入浴料、朝夕食)、小学生以下3500円。問い合わせは滝沢モンゴル村(電話680―2588)まで。  


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします