盛岡タイムス Web News 2013年  5月 24日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉151 草野悟 歴史30年、すごうまワンタン

 

     
   
     

 国際美味探究会(会員1人・弟子1人)の仕事として、友人のAO山君と松尾町・盛岡劇場近くにある「蘭々」に行きました。店に入った瞬間からスープの香ばしいオーラが漂っておりました。注文する前からヨダレがあふれるというサインは、間違いなく岩手の食の宝、重要すぎる名店なのです。この店、創業30年、変わらぬ味を追求し、上品、さわやか、後味、無我夢中、という4拍子を達成しております。悩みに悩んだ末、私はワンタンとギョーザという黄金組み合わせを選択いたしました。運ばれてきたワンタンのスープをレンゲですすり、喉元を通り過ぎたその瞬間、真赤なバラが舞い始めました。「うま!」この言葉以外必要のない衝撃です。まるで中津川の清流のように澄み、しかも何重にも重なったコク。とても複雑なうま味が詰まっているのです。悩みました。国際美味追求会会長としての面目から、必死に味の正体を探りましたが、降参です。この道30年の店主、お母さんに「ただのしょうゆ味じゃないよね」と失礼な質問をしてしまいました。答えは驚愕(きょうがく)で卒倒するものでした。なんと「豚骨スープ」だと言うんです。

     
   
     


  どんなに見ても、この澄んだスープが豚骨だなんて信じられません。春、雪解け水の中から芽を出し、純白な花を広げるミズバショウのような味なのです(誰も知らない)。

  豚骨と言えば、白濁が定番ですから、どうやってこんなに透明感いっぱいのスープができるのか、謎です。これが岩手の奥深さなんですね。またまたギョーザのうまいこと。ワンタンをすすり、ギョーザをパクリ。実に幸せな夜でした。友人のAO山君に、「AOちゃん、うまいね」と言いましたら「うん」と一言。感動のない返事です。ただ黙々と食べています。2人とも最後の一滴まで飲み干し、寒い夜空に温かな満足感で店を出ました。「AOちゃん、また来るべ」「うん」。ボキャブラリーのない友人です。
(岩手県中核観光コーディネーター) 


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