盛岡タイムス Web News 2013年  5月 26日 (日)

       

■ ILC誘致への機運を 各地で市民向けイベント

     
  JAXAタウンミーティングで宇宙航空分野の専門家と意見交流する市民  
  JAXAタウンミーティングで宇宙航空分野の専門家と意見交流する市民
 

 国際リニアコライダー(ILC)誘致への機運を高めようと、盛岡市では25日、素粒子研究や宇宙開発について理解を深める市民向けのイベントが相次いで開かれた。ILCは世界の素粒子物理学研究の頂点となる施設。北上山地に開設されれば県内に国際研究都市が誕生する。市民は期待を込めて研究者らの話に耳を傾けた。

 国際リニアコライダー市民講演会(同市主催)は、同市松尾町の盛岡劇場メインホールで開かれ、市民約220人が参加。茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)素粒子原子核研究所・研究機関講師の藤本順平さんらが講演した。

  藤本さんは宇宙をブドウパンに例え「パンに散らばっているブドウが宇宙の星。小さなパン種が膨らむように、宇宙は誕生してからどんどん膨張している。宇宙を観測して、遠い星ほど速く遠ざかっていることが分かった。星たちが遠ざかっていく速度から宇宙の年齢も分かる」などと分かりやすく解説。

  ILCで、あらゆる物質のもとになっている素粒子の研究を進め、宇宙の成り立ちを解き明かすことは「目の前の自然の能力の素晴らしさを理解することにつながる」と強調した。

  講演を聞いた盛岡天文同好会の横澤一男さん(78)は「素粒子研究の話はやはり難しいが、宇宙の成り立ちなどの話は分かりやすく興味が持てた」、マレーシア出身で岩手大工学部応用化学生命工学科に留学している、カン・ジャスミンさん(20)は「ILCが開設され、ビッグバンの解明が進めば、原発などに代わる新しいエネルギーの研究に応用することもできるのでは」と期待を寄せた。

  県政策地域部政策推進室の千葉彰ILC推進監も登壇し、国際研究都市の誕生によって地域全体が活性化することを説いた。

  一方、宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員と市民が宇宙について語り合う、JAXAタウンミーティング(JAXA、盛岡市教委の主催)は、同市中ノ橋通1丁目のプラザおでって開かれ、約130人が参加した。

  JAXA宇宙教育センター長の広浜栄次郎氏は、宇宙研究を教育に生かす試みについて話題提供。「宇宙食」の創作を通して栄養や調理について学ぶ家庭科の授業や、衛星画像から環境変化について考える教育実践などを紹介した。

  市民からは「授業だけではなく、地域で身近に宇宙と触れ合うようなプログラムを提案してほしい」「子どもたちに普段から月を見上げるような習慣があれば、宇宙に対する関心もわく」といった意見が出た。

  JAXA宇宙科学研究所の満田和久教授は、X線で銀河団の中の高温ガスなどを観測する最先端の研究を説明した。

  難解な研究テーマに市民もやや戸惑い気味だったが「宇宙人はいると思いますか」といった素朴な質問もぶつけ、科学への関心を広げていた。

  リニアコライダーは、全長31〜50`の地下トンネルに造られる直線的な衝突加速器。 精密な超高真空ビームパイプの中で、電子と陽電子をほぼ光の速度まで加速させて衝突させることで、宇宙の始まりとされるビッグバンとほぼ同じ高エネルギー状態を作り出す。その瞬間に発生する素粒子などを測定、解析することで、宇宙起源の解明につなげる。

  7月にもILCの国内候補地が選定される見通しとなっている。

 


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