盛岡タイムス Web News 2013年  5月 28日 (火)

       

■  ごみ分別を心地良く デザインの視点で早見表 盛岡市資料から非公式製作 デザイナー清水真介さん イラストレーター田上たかさん

     
  非公式のごみ分別早見表を製作した清水真介さん(左)と田上たかさん  
  非公式のごみ分別早見表を製作した清水真介さん(左)と田上たかさん
 


  盛岡市のグラフィックデザイナー、清水真介さん(30)と同じくイラストレーターの田上たかさん(33)は、同市のごみ分別早見表を非公式で製作した。「生活の末端の作業を気持ちよく。毎日『ごみ』を考えることが、ぼんやりとした問題ではなく、明確な課題になる第一歩になれば」と、デザインの視点から意識改革を促している。

  非公式の早見表は、市が発行し無料で配布している「盛岡地域版ごみの分け方・出し方収集カレンダー(家庭用)」と「盛岡地域版ごみ分別辞典」を参考に、清水さんが企画・デザインした。

  公式版カレンダーと同じA3判のポスターで、水彩のイラストに重きを置いた作り。文字情報はイラストを補う姿勢で、字体は控えめに黒一色で展開。懐かしい手触りの生成りの紙を使用し、全体的にゆとりを感じる表になっている。

  「もっと空間に溶け込むようなもので、見ようと思った時にしっかり見られるもの。普段は、主張はしなくてもいいかな」。一市民として公式版カレンダーを使用する中で、アイデアが芽生えていった。

  清水さんは、岩手大の大学院で視覚伝達デザインを研究後、一度県外に出て2010年に帰郷。homesickdesignの代表を務める傍ら、仲間とギャラリーを共同経営している。

  かれこれ1年以上、アイデアだけを抱えていたが、昨年春、ギャラリーの自主企画で田上さんのイラストに出合う。「合うかも」と直感し、企画が動き出した。

  しかし「本題に入るまでに課題があった」と田上さん。「企画・デザイン」と言っても一筋縄ではいかず、まずは情報の整理から始まったという。

  例えば、プラスチック製容器包装。汚れているか否かで、資源か可燃ごみになるが、公式版カレンダーでは可燃ごみ行きの表記はない。情報に迷ったら自身の生活に立ち返り、何を載せるかを決めていった。

  いよいよ本題のデザインでは、イラストの力に頼った。例えば「朝8時30分までに出してください」は時計とカラスの絵で代弁した。

  清水さんは「デザインは悪く言えばコントロールできる。ポジティブな考えに移行できる」と振り返る。

  たたずまいは控えめだが、愛着が湧く工夫は忘れなかった。持ち主が手を加えて完成させるコーナーや「ごみにも市民性が出るのでは」とイラストには盛岡のアイコンが隠れている。

  完成までに1年近くかかり、4月の展示会で発表。会期終了後も1枚350円で販売をしていたが、約1カ月で完売した。当初は流通までは考えていなかったというが、反応次第で増刷を考えているところだ。

  「今は情報があり過ぎて、情報の押し付けにもなりかねない。情報に対して、おっくうに感じているところもあるが、一つの選択肢になれば」と田上さん。清水さんは「デザイン分野から、人の気持ちを豊かにする可能性を提案できたかなと思っている」と振り返る。

  当の本人も愛用中だが、「使っていくうちに、こうした方がいいなと思う所が出てきた」と声をそろえる2人。清水さんは「決して満足するのではなく、毎年ブラッシュアップしていきたい」と話し、来年度版の製作を視野に入れている。

  非公式ごみ分別早見表の公式ウェブサイトは、homesickdesign.com/gomi2013。

 


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