盛岡タイムス Web News 2013年  5月 28日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「リアスの港」照井良平



そこは
ギザギザの半島に囲まれていて
うろこ雲が白く跳ねていて
日焼けした肌が
褐色に 渋く光っているところ
夕焼け色に
北の命が染まっているところ
 
そこは 魚がいることを
カモメに教えられた船が発つところ
親潮のベーリング海流と
フィリピン海流の黒潮がぶつかる海に
弾ける朝陽を浴びて発つ船を送るところ
そして青い海原から 潮の背に
しぶきを乗せて帰る船を待つところ
 
ここには なんにもないと
去る人達もいるけれど
良く見ると 金剛石の星空が浮かび
港に フィロソフィー星雲が降り注ぎ
オロロンオロロン 星々の海鳥が
岬の漁火にチャイコフスキーを舞うところ
明ければ 高層ビルもタワーもない空に
寒椿の花が咲き
ハマギクの花が咲くリアスの入江で
カモメがニャーニャオ鳴き
ニャーニャオ魚をねだるところ
漁師と漁を語るところ
 
振り返り見れば
今日を生き
明日を生きる四季の風に
ひたすら魂の帆柱を掲げる国で
慕う人々が住んでいて
沖に 穢れのない魚が住んでいて
訛るイーハトーブの国へ
旅のできるところ
そんな故郷へ帰りたいと願う人達を
迎える岸壁があるところ
船が着くところ

 


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