盛岡タイムス Web News 2013年  6月  24日 (月)

       

■  旧南部家別邸庭園 国の登録文化財へ準備 来月にも登録申請 庭園フォーラムでも価値評価

 

     
  江戸時代の南部家別邸や庭園の様子を示す「下小路邸図」を見ながら、意見交換するパネリスト  
  江戸時代の南部家別邸や庭園の様子を示す「下小路邸図」を見ながら、意見交換するパネリスト
 


  盛岡市と同市教委は、同市愛宕町の中央公民館敷地内にある旧南部家別邸庭園を、国の登録文化財に登録申請する準備を進めている。来月にも県を通して文化庁に登録申請する。22、23の両日、同公民館で開かれた文化財庭園フォーラム(文化財庭園保存技術者協議会主催)でも、その価値が評価された。全国の造園の専門家らが集ったフォーラムの開催をきっかけに、保存管理などの環境をさらに整え、市民に対しても貴重な文化遺産としてアピールしていく。

  23日の文化財庭園フォーラム・シンポジウムには協議会員や市民約50人が参加。この中で、同市教委歴史文化課の今野公顕文化財主査が、市の文化財庭園の保護施策の方向性について報告。旧南部家別邸庭園をはじめ、文化財的な価値がある市内の他の庭園についても再評価し、保存や整備、活用を推進していく方針を説明した。

  「文化財庭園の保存継承のために」をテーマに行われたパネル討論で、奈良文化財研究所文化遺産部の平澤毅景観研究室長は、旧南部家別邸庭園について江戸時代の庭園絵図や明治期の庭園設計図など、庭園の変遷が分かる文書資料が残っている点を評価。「城跡や南部家別邸など他の歴史資産との関連性なども検証し、さらに庭園としての魅力を浮き立たせてほしい」と助言した。

  京都造形芸術大の尼ア博正教授は、周囲の山と築山の連続性など「空間として庭を捉える視点が重要」と話し、庭の樹木も空間や時間を念頭に「創造的な保存を」と提言。

     
  盛岡市と市教委が国の登録文化財への登録を目指す旧南部家別邸庭園  
  盛岡市と市教委が国の登録文化財への登録を目指す旧南部家別邸庭園
 


  文化財指定庭園保護協議会の亀山章会長(東京農工大名誉教授)は「庭園を守るのは庭師の技術と持ち主である市民の力。文化財への登録に向け、より魅力的な庭園に育ててほしい」と呼び掛けた。

  旧南部家別邸庭園は1906年、別邸新築に合わせて造園された日本庭園。面積約8千平方b。原設計は明治から大正にかけ造園技術の第一人者として活躍した長岡安平(1842〜1925)が手掛け、地割や池泉など、藩主の別邸だった当時の意匠を踏襲している。江戸前期は盛岡藩で使用する薬草を栽培した「御薬園」だった。

  これまで都市計画との兼ね合いなどから、保護庭園の指定も、文化財としての指定登録もしてこなかったが、市有地のため、良好な環境が維持されている。文化庁からも「大名庭園」の好例であり、積極的に保存活用を進めるよう指導を受けていた。

  旧南部家別邸は先行して国の登録有形文化財へ登録申請している。市の歴史文化を語る遺産の一つとして庭園とセットで保護、活用を図っていく方針だ。

  今野主査は「庭園も市の歴史を語る上で貴重な文化財。市民にも、これまで以上に歴史的価値の高い庭園としてアピールし活用を進めていければ」と話す。


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