盛岡タイムス Web News 2013年  6月  25日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「喪服の魚」佐藤康二


   
  火事を潜り
  夜空の
  静かな通りを泳ぐ

 そのまばらな外灯の列

 ひとつが
  消えかけている
  直せない明滅を巡り一匹の魚は
  また通りの先へ向かう
  尾ひれに沿う
  夜のゆらぎ

 火の粉がまだ
  遠くで散っている
  散って
  すぐに消える

 星になれない火

 地上の息を数えて
  数えきれない
  魚は
  ただ静かに泳ぎながら
  今夜かたく閉じた瞼の上を過ぎる

 黒く
  鱗がきらめく



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