盛岡タイムス Web News 2013年  8月  7日 (水)

       

■  〈日々つれづれ〉183 三浦勲夫  ラッキーセブン


 7月も終わった。わが家の「ロック」(犬)は昨年12月以来、ほぼ毎週、腹水を、時には胸水を抜いてもらってきたが、7月は8日に胸水を抜いてもらった後、順調に健康を回復している。心臓あるいは肝臓に疾患の疑いがあるが、3週間半、元気に暮らしている。奇跡というか「ラッキーセブン」というか。飼い主としてはこの状態が長続きすることを願う。家人が薬を苦労しながら与えてきたし、励ましの声を皆で掛けてきた。

  幸運なタヌキについての珍しい話も7月に聞いた。玉山区の路上で失神したタヌキを人が見つけ、交番に届けた。警察官はタヌキを獣医師に持ってきた。診断すると心臓は動いているし、呼吸もしている。外傷もない。なぜか意識を失っている。獣医師は一晩、タヌキを段ボールの箱に入れ、水や餌とともに車庫に収容した。翌朝、車庫の戸をあけると意識を取り戻したタヌキは脱兎のごとく、隙間から逃げ出し姿を消した。「なぜ失神したのか?」が疑問だったが、タヌキに詳しい獣医師仲間が「タヌキは極度のショックを受けると失神するものだ」と教えてくれたという。

  タヌキは自動車にひかれそうになったのだろうか。どのくらいの間、失神していたのだろうか。いずれ幸運にも親切な人手を経て意識を取り戻し、何はともあれまた自然の世界へと走り去ったのはめでたい。「タヌキ寝入り」という言葉も立派な根拠があるらしい。ふてぶてしい「寝たふり」ではなく、腰を抜かした揚げ句の失神であるのだが。

  もちろんすべてがラッキーな7月ということはない。東北の梅雨明けは例年7月下旬だが、今年は明けなかった。その間、岩手県では集中豪雨はあったが大きな土砂災害は今のところないようだ。他県では「経験のない豪雨」、「河川や海での水死」、「中央アルプスで韓国人登山客の死亡事故」などのいたましい出来事を起こした。

  8月は、夏祭り、盆、終戦記念日の月である。先祖や戦死者を悼み、思い起こす。米国など連合軍に対する勝利を目指して日本は太平洋戦争に突入した。緒戦こそ勝利を重ねたが、ミッドウェー海戦(1942年6月5日―7日)の敗北からは防戦と撤退の戦となった。広島と長崎に対する原爆投下を経てようやく日本は連合国に対し「無条件降伏」を受諾した。あの戦争は深い教訓を日本に与え、戦後の復興と国際貢献にも指針を与えてきた。

  日本軍は戦前に「勝利」という、今から思えば「奇跡」を呼び起こそうとしたかに見える。現実は都合よく進まなかった。成功には多くの人を納得させる目的と、それに向けての着実な努力が必要である。ミッドウェー諸島の意味は「中間点」で、地理的にハワイ北西部の日付変更線上にある。あの中間点を境として日本は象徴的に戦後時代へと進むことになった。進むも、退くも、いばらの道ではあった。

  今年度も5カ月目。特に7月がラッキーセブンではないが、ラッキーな犬とタヌキの話題があった。最後に、米国の会計年度は10月1日から9月30日までで、英国では4月6日から4月5日までだ。学年度は両国とも9月または10月から6月まで。オーストラリアとニュージーランドの学年度は2月から11月まで。3月に英語研修の学生を連れてメルボルンによく行ったが、あちらでは秋の新学年が始まっていた。
(岩手大学名誉教授)


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