盛岡タイムス Web News 2013年  8月  24日 (土)

       

■ 国内候補地を北上山地に決定 国際リニアコライダー 誘致判断にはなお時間

     
   手を合わせる県国際リニアコライダー推進協議会の谷村邦久副会長、元持勝利会長、玉山哲理事、廣田淳理事(左から)  
   手を合わせる県国際リニアコライダー推進協議会の谷村邦久副会長、元持勝利会長、玉山哲理事、廣田淳理事(左から)
 

 超大型加速器・国際リニアコライダー(ILC)の建設を推進する素粒子研究者組織「ILC戦略会議」(議長・山下了東京大准教授)は23日、本県の北上山地を候補地に選定したと発表した。他にILCの建設が検討されている国はなく、事実上、北上山地が世界の候補地として一本化された。ただ、建設コストなどの面で慎重な判断を求める意見もあり、政府が実際に日本への誘致を判断するまでには、なお時間がかかる見通しだ。(9面に関連記事)

  東京大学で同日開かれた記者会見はインターネットの動画配信サイトで生中継。山下議長をはじめ、選定作業に当たったILC立地評価会議(委員8人)の山本均(東北大大学院教授)、川越清以(九州大大学院教授)共同議長らが評価結果を説明した。

  評価会議は、国内候補地に挙がっていた北上山地と九州の脊振山地について地質地形、建設コスト、予想されるリスクなどの技術面と、世界中から集まる研究者とその家族の生活環境など社会環境基盤の両面から評価。

  北上山地は脊振山地に比べ、社会環境基盤の面でやや劣るものの、加速器本体へのアクセストンネルが短くて済む点や、停電時の排水が容易なことなど技術面、安全面で高く評価された。一方、脊振山地は、ダム湖や都市圏の下を加速器が通過することなどが懸念材料となった。

  ただ、ILCは建設費だけで約8300億円と見込まれ、国際的にどう分担するかなどの交渉はこれから。膨大な建設費や施設維持費は他分野の科学研究費を圧迫しかねないとの懸念の声もある。

  日本学術会議のILC計画に関する検討委員会は、学術的な意義は認めるものの、国際交渉などを進めてから誘致を判断すべきとの中間意見をまとめている。政府は同会議の意見を踏まえ、慎重に対応を検討する方針だ。

  山下議長は「国際交渉で先に(建設費の分担など)フレームアウトを決めてから、国内誘致に手を挙げる方法もある」と説明。今後は政府レベルでの国際交渉や地元をはじめ、国民的レベルで事業への理解を図っていくことが重要との考えを強調した。

  一方、北上山地への誘致が決定したことについて海外出張中の達増知事は「大震災からの復興に取り組む東北にとって希望を感じさせる大きなニュース。政府には諸外国との協議や立地に向けた調査など日本誘致に向けた取り組みを進めるようお願いしたい」と談話を発表。政府や関係機関団体と緊密な連携を図りながら、ILCの受け入れ体制の整備に全力で取り組むとした。

  県は今後、ILC誘致に向けて、7月に庁内に立ち上げた医療、教育、まちづくりインフラ・産業振興のワーキングチームでの作業を本格化。誘致に向けた課題を、早期に取り組むべきもの、中長期に準備すべきものなどに整理して取り組む。研究者チームと役割分担を話し合った上で環境アセスメントの事前調査や住民理解を図るための説明会などを実施する。ILCは当初計画では2018年ごろの着工、20年ごろの稼働を目指している。


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