盛岡タイムス Web News 2013年  11月   6日 (水)

       

■  地域包括ケア システム構築へ 課題多く、取り組み急務 県はロードマップ作成


 介護が必要になった高齢者も、住み慣れた地域で、安心して暮らしていける環境を整えるため、県や市町村は「地域包括ケアシステム」の構築を進めている。団塊の世代が75歳以上となる2025年までに県内全市町村への構築を目指すが課題は多い。比較的、高齢化率が低い盛岡市内でも65歳以上の人口は年に1千人以上のペースで増え続けており、取り組みは急務だ。

  地域包括ケアシステムは、認知症などの高齢者に対し医療、介護、介護予防、生活支援、住まいの五つのサービスを一体的に提供するための支援体制を指す。介護、医療のスタッフをはじめ、民生児童委員や町内会・自治会役員ら地域の関係者が連携。「地域ケア会議」などでサービス提供が十分か検証し、足りないサービスは次の介護保険事業計画や地域福祉計画にも反映させ、改善していく仕組みだ。

  病院に長期入院する高齢者が増えれば、必要な治療を受けられない人が増えてしまう。入居型の介護施設も、高齢者人口のピークを過ぎると供給過多に陥ることが予想される。厚労省の調査では「介護を受けながら自宅で暮らしたい」と望む高齢者が7割を占めており、国は在宅介護や在宅医療を軸に体制を整備していく方針を示した。おおむね30分以内に必要なサービスを高齢者に届けられる環境を目標に掲げる。

  同システムの構築に向けた課題を明らかにするため、県は5月から6月にかけ、県内の市町村と全ての地域包括支援センターを対象にアンケートを実施した。

  日常的に高齢者やその家族の相談に乗り、介護予防のケアプラン作成や虐待防止に取り組む地域包括ケアセンターには特に、地域での調整役が期待される。法律では保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種の配置が義務付けられているが、3職種全てを満たすセンターは、県内51カ所中25カ所にとどまった。

  関係者によると、専門職員の増員やセンターの増設は、人件費など市町村の支出増や、介護保険料のアップにつながるため、二の足を踏む市町村が多いという。主任介護支援専門員は実務経験5年以上など資格要件が厳しく、異動のある市町村直轄のセンターでは養成が難しいという事情もある。

  少ない職員数で許容範囲を超えた高齢者人口に対応しているセンターが目立ち、14カ所のセンターは、現在の体制のままでは担当圏域への「対応が困難」と回答。盛岡地域の包括支援センターの関係者の一人は「親族がいても関係を拒否しているなど調整や対応が難しいケースが増えた。日々の対応に追われ、見守りネットワークや地域課題の検討に取り組めずにいる」と明かす。

  盛岡市は市内7カ所の地域包括支援センターを民間委託し、全てのセンターに3職種が配置されているものの、高齢者数に対するスタッフの充足率は十分でないのが現状。システムの構築に欠かせない、介護と医療の連携についても33市町村中22市町村、51センター中33カ所は「課題がある」と回答した。

  こうした実態を踏まえ、県は、地域包括ケアシステムを達成するためのロードマップを作成した。今年度から2025年度まで、年次ごとに優先的に取り組むべき課題を明示。14年度中に最優先で実施すべきものには、高齢者が約30分で必要なサービスにたどり着ける日常生活圏域の検証・見直し、地域包括支援センターへの主任介護支援専門員ら3職種の適正配置などを挙げる。医療と介護の連携による「在宅医療」などのサービス基盤整備は17年度までの達成を目指す。

  県長寿社会課の鈴木豊総括課長は「高齢になっても住み慣れた地域で過ごせる仕組みづくりは、地域づくりに他ならない。完成すれば、その地域にとって大きな財産になる。ロードマップをチェックリストとして活用し、できるものから地道に取り組んでほしい」と話す。


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