盛岡タイムス Web News 2013年  11月   12日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉187 及川彩子 黒のダイヤモンド


     
   
     

 イタリア各地で収穫祭の便りが届く時期になりました。キノコ、クリ、ブドウ、初物ワイン…、また収穫したてのオリーブを搾った超新鮮なオリーブ油は、味も香りも抜群。イタリア人が首を長くして待っているものの一つです。

  中でも、イタリアの秋が誇るのは、世界3大珍味の一つ「トリュフ」の収穫です。キノコとは思えない、ごつごつした黒い塊ですが、中は真っ白で、個性的香りを放ちます。イタリア語では「タルトゥフォ」。

  人工的に飼育される他のフォアグラやキャビアと違い、トリュフだけは栽培不可能。それだけ希少価値があるので、「黒いダイヤモンド」と呼ばれているのです。

  トリュフは、白と黒の2種類。白トリュフは、イタリア北部の一部の山岳地方のみ、黒は、フランスの一地方とイタリア中部が産地です。先日、フィレンツェ郊外の店先で、旬の黒ダイヤを見つけるや否や「これがキノコか」と思わずカメラを向けずにはいられませんでした〔写真〕。店内も、トリュフ入りのサラミやパスタなどトリュフ一色です。

  トリュフ収穫に、豚が使用されるのは有名な話。昔、豚が地中から掘り出して食べていた塊がトリュフだったと言われ、古代ローマでも、嗅覚の優れた豚を、収穫用に飼育していたそうです。

  カシやハシバミの根に胞子が付き、木の根から栄養を、地中から水分を吸収し、成長すると地上に出ず、地中で熟成するので、神秘的な芳香が醸し出るのだとか。主に、薄くスライス、あるいはすりおろし、ゆで立てのパスタや卵料理などに使います。

  店先で買い求めた、食卓用の小さなかけらでも2千円ほど。「値段の付けられない、質も大きさも最高級のダイヤは日本行きだよ…」と気さくに笑う店のご主人。

  人間の飽くなき味覚の追求心にも驚かされますが、見かけでは分からない「存在価値」に、人々は引かれるようです。


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