盛岡タイムス Web News 2013年  11月   26日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「冬へ」藤野なほ子


   
急にきた 寒さにあわてて
植物の鉢を 室内にとり込む
むせかえるような 室内の賑やかさ

雲が流れていく
地の暖かみは急速に失せて
まといつく雑念も
季節の間に次第に?がれおちて
いのちの底まで透けている

鉢植えたちの それぞれの個性
南方育ち 山育ち
野性そのまま みな違った生き方のまま
これから この狭い室で 春先きまで
少ない陽当たりを分けあっていく
枝が絡み合い いのちがかみ合い
人の手を寄せつけない息遣いもある

窓ガラスを隔てた外では
霜がきても 菊がまだ
鉢に沢山の花を咲かせているが
内も外もこれからの暮らし難さが滲む
冬への準備と
それぞれの居場所を考える

ここで冬を越す
春迄の住処
狭くてもいのちを寄せあい
寒さにも耐えてじっと内をみつめながら
やがて萌え出る 春を待つのだ
−一鉢も枯らすことなく

植物達は まだ秋の勢いを残したまま
恵み少ない 窓の陽を追っている


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします