盛岡タイムス Web News 2013年  11月   27日 (水)

       

■  〈日々つれづれ〉199 三浦勲夫 11月22日


 11月22日を「いい夫婦の日」と読んで、各地で祝賀式を行ったりしている。家庭内で祝ったところもあるだろう。「いい夫婦」の意味を考えるだけでもいい。1998年「いい夫婦の日を進める会」(桂文珍名誉会長)が発足し、99年から「パートナー・オブ・ザ・イヤー」を決定したり、いい夫婦に関連した川柳を募集したりしている。

  同じ11月22日でも1963年のその日午後0時30分ごろ(日本時間23日午前4時30分ごろ)、アメリカ・テキサス州のダラスでは、時のケネディ大統領が暗殺された。ダラス遊説のためのオープンカー最後部座席の隣にはジャクリーン夫人が座っていた。大統領は20b離れた教科書倉庫の窓からライフル銃で狙撃された。犯人として逮捕された人物はリー・ハーヴェイ・オズワルド。しかし2日後に地元のナイトクラブ経営者に射殺された。彼が真犯人かどうかについては議論が今も盛んに続いている。

  あれからちょうど50年が過ぎた。ショッキングな事件が起きたその日、敬愛する大統領を思いもよらぬ凶弾に失い米国民は深い悲しみに包まれた。同時に個人としてもいまだにあの日、自分が何をしていたかの記憶を鮮明に保持し、この日に語り合う人々も多い。

  自分の場合は日本時間11月23日だが、大学生で東京に住んでいた。祝日(勤労感謝の日)で、下宿から西武池袋線に乗り、友人とお茶の水女子大学の大学祭を見に行った。池袋駅に出たところで「ケネディ大統領暗殺さる」の号外新聞を受け取った。友人と「えっ」と声に出し、食い入るように記事を読んだ。池袋駅の乗り換え通路の広いホールだった。翌年3月に大学を卒業しサラリーマンとなった。東京オリンピックが10月10日に開幕した。勢いよく経済発展する日本をケネディ大統領は訪問したいという希望を持っていた。その願いは長女キャロライン・ケネディ新駐日米大使(今年11月19日着任)によりかなえられた。あの年6歳だったキャロラインさんは今月27日で57歳になる。各界から日米の友好と親善の絆がこれを機会により強まることが期待されている。

  凶弾に父親を奪われた娘が弁護士の経歴を経て駐日大使に着任する。「アメリカのロイヤル・ファミリー」とも称され、女性として初の米国大統領になる可能性もささやかれている。名門の出であっても大きな悲劇を乗り越え、笑顔で活躍する姿に日本国民も拍手して迎え(信任状奉呈式の日)、今後の活躍を期待している。

  語呂合わせである11月22日の「いい夫婦」も決していいこと続きばかりではない。今年もあとひと月余りとなった。今年一年「いい年」だったろうか。夫婦があちこちで話し合い、ため息している声が聞こえるようだ。台風、竜巻、土砂災害が頻発し、かつ大型化した。尊い人命が多数奪われた。自分も個人的に悪いことの方が多かったようだ。しかし、時間枠を広げて考えることも必要だ。5年、10年、20年、50年と広げて俯瞰(ふかん)すれば、良いと思ったことが悪くなり、悪いと思ったことが良くなることもあった。目先ばかりにとらわれてはいけない。世の中の推移と個人の推移とを広い視点で見詰めたい。その上で「来年こそ」と希望をつなぐことも必要だ。
(岩手大学名誉教授)


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