盛岡タイムス Web News 2013年  12月   1日 (日)

       

■ 〈わが歳時記〉 高橋爾郎 「12月」 

 師走12月、もう1年の締めくくりの月である。庭の木々も常緑樹の松や椿を残してすっかり葉が落ちてしまった。その中で梅もどきだけが、びっしりと真赤な実をつけて初冬の庭に華やいでいる。まもなく小鳥たちがついばみにくる頃だ。

  7日は天地閉塞して雪大いに降る大雪(たいせつ)、22日は冬の最中、日南下の極み夜最も長い冬至である。もう店頭にはお歳暮や正月用品が並んでいる。クリスマスツリーも立ち始めた。紅白に彩られた雅びな注連飾りを眺めていると年々歳々のこととはいえ心が弾んでくる。

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  毎朝、新聞といっしょに届く折込みチラシを見るのが楽しい。特に金曜日が多く、新聞の倍ぐらい届く。続々と登場する新しい型の自動車やスマホ、ケイタイ、若い人々のファッション、旅の案内、旅館やホテルの忘新年会の料理、スーパーの売り出しなどなど、あまり町に出ることのない僕にとっては貴重な情報源である。何よりもカラー写真がきれいだ。宣伝の文句がまた面白い。

  きょうは「○○○すし店」の新装開店のチラシがある。「贅の極味」の大きな活字、「厳選されたネタで堪能、珠玉の逸品大とろ」「本場まぐろならではのうま味が、あなたの味覚を刺激する。大とろここにあり」「これぞ醍醐味、大切りほたて」「透きとおった肉厚の身、奥深い甘み、しびれるほどの自慢の逸品」「共に1皿189円」とある。これ以上ないような美辞麗句に感心する。

  スーパーのチラシの値段、88円、98円、188円、198円も固定化しつつある。

  わが家の2種類の新聞に入ってくるチラシに要する宣伝広告費はいったいいくらだろうかなど思いながら、できるだけ丁寧に見てあげなくてはと考え、きょうもチラシを拝見するのだ。

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  福田こうへいさんのNHK紅白歌合戦出場が決まった。大変うれしい。こうへいさんのことについては3月にも書いたが、民謡日本一から「南部蝉しぐれ」で演歌デビュー、NHK歌謡コンサートなどで大活躍だった。

  「南部 盛岡 雫石/思えば遠いふるさとよ/夢がこぼれた都会の谷間/呼んでみたって山彦ばかり…あれをご覧よ真赤な夕陽/落ちてゆくのにまだ燃えている」民謡で鍛えた伸びやかな透きとおる声
、哀愁をこめた声が、遠い故郷を思う人、壁に突き当たっている人などの心をどんなに奮い立たせたことか。被災地を巡りながら、どんなに元気を与えてくれたことか。大みそかが待たれることである。

  これからもご精進のうえ、ますます岩手出身の歌手として美しい声を聞かせていただきたいと思う。

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  鍋物に火のまはり来し時雨かな    鈴木真砂女

  こしかたゆくすゑ雪あかりする     種田山頭火

  降る雪に睫毛もつとも早く濡れ     内藤 吐天

  寒風に少女はつよき言葉持つ     右城 暮石

  ゆく年や蕎麦にかけたる海苔の艶   久保田万太郎(歌誌編集者)


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