盛岡タイムス Web News 2013年  12月   1日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉51 菅森幸一 「桶・樽・甕・壺」 

     
   
     

 今では趣の全くない合成樹脂にとって代わられているが、日本人は保存技術において遺憾なくその知恵を発揮していた。木と竹でできた桶(おけ)に鏡(蓋板)をはめ込んで固定したものが樽(たる)でしょうゆ樽や酒樽が有名だ。わが家では空き樽に焼酎で漬け込んだ大量の柿の実が冬期間のオヤツとして欠かせないものとなっていた。

  甕(かめ)と壷(つぼ)は貯蔵容器としての陶磁器の代表で、これら焼き物は水漏れの心配がなく湿気を寄せ付けないので入れた物が変質しにくい。壷は口が小さく胴の膨らんだ容器で少しずつ出し入れするのに用い、塩壷・砂糖壷・梅干壷・茶壷・油壷など用途は広い。

  甕は口が広く大量かつ頻繁な出し入れに便利で水道の普及まではどこの家にも水甕があった。小型の甕は漬物に便利で、わが家ではこれにイカタタキ(イカの塩辛)をたくさん作り、母さんのアイデアで最も人通りの多い玄関に置くことにした。ここを通った者は「必ず十回カッチャマス」というルールを定めたが、その都度盗み食いをする者が後を絶たず、翌日このルールは廃止となり、問題の甕はどこか秘密の場所に隠され二度とジジの目には入らなかった。


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