盛岡タイムス Web News 2013年  12月   3日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「北の盆唄」上斗米隆夫


   

あの夏
男たちの多くは
まだ帰らなかったが  
長い戦争は
終わっていた

それまでの
いくたびかの盆
息を潜めていた
ナニャドヤラの唄が
闇から滲み出るように流れ

やがて
部落の広場の
かがり火を
年寄りと
女と
子どもたちが囲み
束の間
闇の底に沈んで
また
光の中に浮かび出て
ゆらゆら揺れる
輪を描いていた

ナニャドヤラの唄は
休みなく
村人の踊りを誘い
切ない祈りを
促していた 

僕には
それが 本当は
嬉しい 唄なのか
悲しい 唄なのか
分からなかったが

あの夏
子どもたちの
夜遊びを叱る
大人は
誰もいなかった


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