盛岡タイムス Web News 2013年  12月   5日 (木)

       

■  〈夜空に夢見る星めぐり〉343 八木淳一郎 ホーキ星の親しみ3


 いま話題のアイソン彗星(すいせい)は、果たして期待通りの大彗星として私たちの前に姿を現すでしょうか、それとも…。と書いているあいだにニュースが流れ、彗星は太陽の熱と潮汐力(ちょうせきりょく)で崩壊してしまったとのことです。

  太陽をかすめるように通り抜ける彗星はクロイツ群と呼ばれ、いくつも発見されていますが、太陽の熱で溶解してしまったり、潮汐力で分裂してしまったりする可能性を持っています。また最近では、太陽観測衛星の写真に写っていて初めて見つかる彗星が予想外に多いことが分かってきました。

  太陽に接近する彗星が多いということは、地球もかなり彗星の衝突の危険にさらされているのだということになりましょう。一説には、地球の水は氷や雪の塊である彗星の衝突が何度も繰り返されて出来たものだとも言われています。

  ところでアイソンISONの名前は国際科学光学ネットワークInternational Scientific Optical Networkに由来し、このごろ発見される彗星の名前はこうした研究所や研究チームなどにちなんだものが多くを占めています。少し前までは個人の名前―すなわち発見者の名前が付けられるものが専らで、日本は世界でも有数の発見王国でしたし、今もプロの研究機関の隙間を縫うようにして時折、発見が報じられます。年配の方ですと本田彗星の名前を、団塊の世代では池谷・関彗星を記憶されている方も多いはず。報われることが難しいことを承知で、新しい彗星を求めて夜ごと捜索活動をされている方もいっぱいいるのです。まさにロマンそのものですが、そこへいくと、アイソンの名前は無味乾燥。親しみが湧きませんが…。

  さて、1994年7月のことでした。シューメーカー・レヴィ第9彗星というのが、その2年前に木星に接近して潮汐力で21個に分裂し、まるで列車のように連なって軌道上を巡り、木星に次々と衝突する「大事件」がありました。人類が初めて目撃する地球外での天体同士の衝突です。その日、小生はとても見られないだろうと思いつつも木星に望遠鏡を向けておりました。

  ところが、木星の自転に従って縁から現れてきた異様な光景に接することになり、驚き慌てふためいて友人に電話して確かめ合ったのでした。同好会は小岩井の天文館で観察会を開き、木星でさえ見るのが初めてという大勢のお客さんたちにも、衝突で出来た黒い斑点を確認してもらうことができました。また、この衝突に際しては、日本の天文計算家、中野主一さんが世界で初めて予報を出すという偉業を成し遂げています。
(盛岡天文同好会会員)


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