盛岡タイムス Web News 2013年  12月   8日 (日)

       

■  医療、介護の多職種が連携 がん患者の在宅緩和ケア チームもりおかが研修会


     
  がん患者を支える訪問介護の実際について説明する高橋栄子さん  
  がん患者を支える訪問介護の実際について説明する高橋栄子さん
 

 がん患者の療養の選択肢として、需要が高まっている「在宅緩和ケア」について学ぶ研修会が10月から11月にかけ、盛岡市内で開かれた。医療法人葵会の在宅医療連携拠点事業所チームもりおか(板垣園子所長)の主催。医療や介護に携わる多職種のメンバーが参加し、がんの痛みを緩和しながら自宅療養する患者やその家族を支えるための知識を共に学んだ。

  研修会は4回シリーズ。先月15日、盛岡市大通1丁目のリリオで開かれた研修会には、医師や歯科医師、看護師、薬剤師、介護支援専門員ら約150人が参加。自宅で療養する、がん患者の訪問看護や薬剤管理、口腔ケアについて理解を深めた。

  滝沢村の訪問看護ステーションゆとりが丘の訪問看護師(保健師)の高橋栄子さんは、訪問診療や介護サービスを活用し、自宅で穏やかな最期を迎えた患者の事例を紹介。78歳の男性患者は、痛みによる不眠に悩まされていたが、医療麻薬などで痛みをコントロール。亡くなる5日前には家族と焼き肉を囲み、自宅で永眠した。

  高橋さんは「在宅こそがQOL(生活の質、命の質)向上を図れる最高の場所とPRすべき」と主張。一方で▽往診できる医師の不足▽経済的負担▽病院での死が当たり前になり、息を引き取るまでの自然なプロセスが理解されていない―など、患者や家族が自宅療養を選択できない理由も指摘した。

  在宅ケアを支える上で、退院前に家族の介護力を把握し、支える関係職種の連携体制を整えることや、緊急時にバックアップする病院を確保しておくことの重要性も提言した。

  この日は、がん患者の自宅を訪問し、薬剤管理を指導している調剤薬局ツルハドラッグ津志田店の薬剤師長井貴之さんや、がん患者の訪問歯科治療を推進する市歯科医師会理事の中村ますみさんも講演。

  中村さんは、訪問診療で接する自覚症状のない患者の8割が何らかの口腔トラブルを抱えていると指摘し「往診に取り組む歯科医師はまだ少ないが、ニーズは高い。歯科もかかりつけ医を持ち、要介護や寝たきりになってもケアしてもらえるような体制づくりが必要だ」と話した。

  質の高い在宅医療や在宅ケアを実現するためには、1人の患者を支える医療や介護スタッフの情報共有と連携が欠かせず、チームもりおかは、関わる人材の顔が見える関係づくりに力を入れる。

  研修に参加したJAいわてグループ指定居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員・吉田直美さんは「継続的に勉強し、在宅で良かったと思われるようなケアをしたい。分かりやすい説明を目指す薬剤師さんの努力は、ケア・マネにも共通の課題」と受け止める。

  県立中央病院で退院調整を担当する、がん看護専門看護師の伊藤奈央さんは「病院関係者は病院の中のこと、在宅ケアに関わる人は在宅のことしか分からない。互いの苦労をくみ取って信頼関係を築いていくことが、患者や家族にとっての安心につながる。連携の裾野を広げていくことが大事だと思う」と話した。
(馬場恵)


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