盛岡タイムス Web News 2014年  1月  1日 (水)

       

■  馬頭琴の調べ モンゴルの伝統楽器 NAGISAさん(盛岡出身) 出合いは短大在学中


 馬頭琴は先端が馬の頭の形をした二弦楽器、1千年以上前に遊牧生活の中で生まれた。ホールなどで演奏するケースが増えているが、もともとは草原、大家族が生活する組み立て式の住居ゲルの中で演奏されてきた。盛岡市出身のNAGISAさんは、モンゴルを拠点に世界で活動する馬頭琴演奏家。モンゴル国立馬頭琴交響楽団で研修し、外国人として初めて修了証を授与されている。現在、ウランバートル(モンゴルの首都)で生活しながら演奏技術を磨く日々という。「いろんな楽器を演奏してきたけれど、わたしに一番合っているのが馬頭琴。歴史的な魅力がある楽器」と馬頭琴への思いを話している。

     
  モンゴルを拠点に演奏活動をしているNAGISAさん  
  モンゴルを拠点に演奏活動をしているNAGISAさん
 

  NAGISAさんは3歳からピアノ、バイオリン、サックスを学び、桐朋学園芸術短期大学を卒業、国立音楽院ピアノ調律科、研究科作曲アレンジ科を修めた。桐朋学園に在学中、演奏会で馬頭琴に出合った。

  「雑音のような音が含まれた音色だったが、逆にそれが哀愁のある、日本人にとっては懐かしいような音色だった」と語る。この時の演奏者、頼玉龍さん(ライ・ハスロー、中国内蒙古自治区出身)に弟子入り、わずか7カ月で演奏会で披露するまでに上達した。「早く上達したのはバイオリンと同じ弦楽器、弓も同じということがあったと思う。バイオリンとの違いは指の押さえ方。それから数年たってプロとしてデビューした」と語り、アジアを中心に演奏活動をするようになった。

  韓国SBSオーケストラのゲスト奏者、昨年はウランバートルで開催された日本・モンゴル国交樹立40周年コンサートで演奏、これがきっかけとなってモンゴル国立馬頭琴交響楽団の研修生となり、修了後も引き続きウランバートルで生活しながら演奏技術の習得へ研さんの日々を送っている。

  演奏は大規模なホールでは年数回、小規模な会場では毎月のように出演。日本、韓国、モンゴルを中心に活動している。

  NAGISAさんは冬のモンゴル草原の印象を「初めてモンゴルに行ったのは真冬だった。雪の積った果てしなく続く広大な大地で、ラクダや羊と戯れながらゲルで遊牧民と触れ合い、モンゴルの文化を知りました。写真のような美しい雪景色や満天の星空を見ると日常のストレスが吹っ飛びますね。夏になったら草原の中で馬頭琴を弾いてみたい」と話す。

  馬頭琴はかつて、動物の骨と皮と馬の尾の毛を使って製作した。先端の馬頭の部分は骨を使い、弦や弓は馬の尾の毛を使っていたという。同じ民族ではあるが、中国の内蒙古自治区とモンゴルとでは種類が異なる。内蒙古に比べ、モンゴルの方はチェロに近い音色だという。

  「モンゴルには一家に1台は馬頭琴がある。どこの家に行っても飾ってある。馬頭琴は草原の中で生まれた楽器。風の音も表現できる。もともとは男性が演奏する楽器だった。動物を治療する時にも使う。自分の子どもの世話をしないラクダに聞かせると涙を流し、世話をするようになる。本当に不思議な楽器」とNAGISAさん。

  最初に内蒙古の演奏家に師事し、モンゴル国立馬頭琴交響楽団で研修しているNAGISAさんは、2種類の馬頭琴を弾ける唯一の奏者。「私はもともと内蒙古の演奏者から馬頭琴を学び、今はモンゴルで研修している。弦の高さ、指を押さえる番号も違う」。気温や湿度によって 音律が狂いやすいのも馬頭琴の特徴だという。

  どんな音階の曲でも演奏できるという馬頭琴。NAGISAさんのレパートリーは300曲以上。オリジナル曲は「Free as wind  風のように自由」、「Legend of sky  空の伝説」の2曲。「『風のように〜』はモンゴルの田舎に行った時に感じた印象を曲にした」と話す。

  演奏家として目標を「今の時代は精神的ストレスにより、心が病んでいる人たちが多いので、そのような心の癒やしを必要としている人たちに、私の演奏する馬頭琴を聴かせてあげたい。馬頭琴を通して日本とモンゴルの文化交流の懸け橋となり、日本の方々がもっとモンゴルの文化や馬頭琴に親しむ機会が増えればと思う。日本人が演奏する馬頭琴という特徴を生かし、日本の曲も多く取り入れてアジアだけでなく世界に私の演奏をお届けしたい」と話している。

  幼い時から演奏家としての成長を見守り続けてきた、盛岡市黒川の山内路子さんは「モンゴルで最高の先生から指導を受けて素晴らしく上達している。東京でモンゴル大使を招いて行われた演奏会では、大使夫妻が感激していたほど。彼女は日本とモンゴルの懸け橋、しかも盛岡出身。私は誇りに思っている」と話している。

  CD発売に向けて準備を始めているというNAGISAさん。「世界の子守歌を集めたCDを制作するところ」と語る。山内さんはCD制作、発売、売り込みを含めた人的なサポートをする人が増えるよう呼び掛けをしている。NAGISAさんのブログURLは、http://nagisamorinkhuur.blogspot.jp/。演奏している動画も閲覧できる。


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