盛岡タイムス Web News 2014年  1月  12日 (日)

       

■  〈ジジからの絵手紙〉54 菅森幸一 「箱ゾリ」


     
   
     

 当時、冬の物資輸送は、もっぱらソリが主体だった。年末早々に根雪になり道路の大部分はソリの滑走が可能で、物ばかりでなく子どもや老人を運ぶソリも普通に使用された。これを「箱ゾリ」と言う。

  わが家ではオバアサンがお医者さんに通うためによく使われた。角巻という毛布のような女性専用の防寒具を頭からスッポリとかぶり、湯タンポを抱えてオバアサンが箱ゾリに乗り込む。それを近所の医院まで押して行くのがジジの役目だった。

  オバアサンが通院する日をジジは首を長くして待った。それはオバアサンの行きつけの医院の待合室には当時、貴重だった島田啓三作の漫画「冒険ダン吉」全巻がそろっていたからである。待合室で待つ患者が多ければ多いほど、漫画を読む時間が長くなり心が躍った。反対に診察時間が意外と早かったりすると大いに失望したものだった。

  つまりジジの箱ゾリ送迎サービスは、ひたすら漫画を読みたいがためで、そのうちにオバアサンもジジの漫画鑑賞に協力し待合室で居眠りしながら時間を稼いでくれるようになったが、あまりにも帰りが遅いので迎えに来た母サンに見つかり、この企てはあえなくオジャンになった。



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