盛岡タイムス Web News 2014年  1月  21日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉192 及川彩子 W杯がやってきた


     
   
     

 今年の冬は、例年より雪が少なく、子どもたちは、そり滑りどころか近郊の緑の丘を元気に駆け回っています。

  本来、北イタリアは、ヨーロッパでもスイスに次ぐウインタースポーツのメッカ。トリノや、オーストリア国境の町コルティナでは、かつて冬季オリンピックも開催されました。

  ここアジアゴ高原は、標高千bのアルプスの裾野に広がる丘陵地帯。コルティナのような山岳地ではありませんが、「プレ・アルプス」と呼ばれる地帯で、そのなだらかなスロープを利用した、距離スキー(クロスカントリー)が盛んです。

  日本では一般的でない距離スキーも、イタリアでは滑降より人気があり、小中学校の冬の授業にも取り入れられています。スキーは、イタリア語で「シー」。この街にあるシー・クラブのほとんどが距離スキー教室です。

  雪道移動から自然発生した距離スキーは、自分のペースに合わせ、周りの景色を楽しみながらジョギング感覚で滑れるのが醍醐味(だいごみ)。そして、大会を運営する側もゴルフ場を使ったり、コースさえ作れば、場所を選ばないのも利点です。

  そんな中、昨年の暮れのクロスカントリーのW杯が、ここアジアゴで開催されました(写真)。オリンピックを目指す各国の選手が転戦する世界レベルの競技会です。

  雪不足や経済事情から開催不可能となったロシアに代わり、人口1万の小さな街アジアゴが名乗りを上げたのです。アジアゴも雪不足でしたが、市では、3千b級の山々から雪を運び、モミの木の生い茂る公園に、周囲の丘を巡る数十`のコースを作り大奮闘。

  1週間にわたったW杯の街アジアゴには、万国旗が舞い、参加26カ国の外国人選手であふれ、市民も観戦に出て、大にぎわいでした。

  プレ・アルプスの小さな街がスキー界に示した底力。アジアゴの歴史の1nを飾る大会でした。
 


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