盛岡タイムス Web News 2014年  1月  23日 (木)

       

■  〈岩手からのカナダ移住物語〉89 菊池孝育 BCSC報告書の内容1


 その三 教育(続き)

  マニトバにおける教育プログラムにはいかなる障害も生じなかった。同州の教育システムに編入される子どもの数も少なく、一定の地域に日系人の子どもが流入しても、既存の施設などが狭隘(きょうあい)になる懸念も、ほとんどなかったからである。

  ただ日系人の子どもたちの存在により、当該学校区の財政支出の増加を招いたが、本委員会に対する該当地区の財政援助要請は妥当な額であったので、相互が満足すべき合意に達したのである。マニトバ州に通学している日系人の子どもの数は約250人である。

  アルバータ州政府の態度は、マニトバ州と同様、協力的であった。この州に居住する日系人の就学年齢の子どもの数は、ほぼ600人に達し、結果として大きな問題をはらんでいた。そこで、次のような合意が結ばれたのであった。

  BCSCは、子ども1人当たりの授業料に見合う経費の合計をアルバータ州政府に支払う。州政府は、BC州から移住した子どもたちの流入によって影響を受けた学校区に、その総額を配分する。以上の内容であった。

  小学校以上の教育を望む高校生レベルは、彼ら自身の裁量に任せることとし、数人の大学生については、幸いにもBC州以外の大学に入学が認められて解決した。この二つのケースは、本委員会から財政援助を受けることはない。

 ここでBCSCはこの報告書において、反日系人感情をあらわにして、教育問題にも非協力的であったBC州政府を、アルバータとマニトバ両州政府の協力的態度と対比させて、間接的に批判している印象を受ける。

  現在、カナダで「ケベック問題」といえばケベック州(フランス語文化圏)の独立問題を指す。当時、「ブリティッシュ・コロンビア州問題」といえば、反日本人、日系人問題であった。BC州には、それほど根強い反日感情が明治30年代から存在した。

 その四 病院(Hospitals)

  ニュー・デンバーでは100床を備えたサナトリウムが建設中である。肺結核患者を収容するためである。この病気は日本人の中にかなり広まっている。

  50床の病院がタシメで建設中で、間もなく完成予定である。タシメは日系人収容地につけられた新たな名前である。ホープに近いトリテス牧場に位置する。

  スローカンには16床の隔離病院があるが、現在、24床の増加工事中である。

  他の地区には既に民間の病院が存在しており、必要に応じて本委員会で利用できることになっている。

  いずれにも有能な医療スタッフと間に合うだけの有資格看護師が確保されている。何人かの日系人医師と看護師が雇用されて勤務中である。それに加えて、多くの若い日系女性が病院勤務の訓練を受けて、以上の病院のさまざまな分野に雇用されている。彼女たちは満足行く勤務ぶりで成果を挙げている。

 収容された日系人の数に比して、十分な医療施設であったとは言えない。ニュー・デンバーには1500人以上収容されていた。タシメには2600人以上である。そしてスローカン渓谷には4800人以上が収容されていたのである。



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