盛岡タイムス Web News 2014年  2月  18日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「山の子の新年」 照井良平


  
山の子は真冬になると
吹雪の木立の中を
ヒューヒュー足跡もつけられず
こわごわ歩く

だが今日は
新年の弾ける太陽の下を
サックサック雪の白い音をたてて歩く
真冬の恵みを身体一杯に浴びて
枝々の 氷の花の透けて見える雪原を
宇宙を サックサック噛み締め歩く
歩いて喉が渇けば 雪の中の雪を頬張り
寒沢川の沢水のように
白い雪が 真っ白く冷たく喉を潤していく
瞬間 ひやっと胸元に心地好い小川が流れだす
とか 厚い雪の下が視えて
山野草が一斉に咲き乱れる春
を そよそよ瞼に見せられるとか
………とかとか
心のすみずみまで 真冬の長閑を味わい
遠い遠くの見えない頂きの
新年の濁りのない眺望を目指して
サックサック青い大気を
前へ そしてさらにその前の
鋭角に跳ねる光の 光る前へと歩く
時に この陽と静をくれた主に手を合わせ
雪にサックサック小気味よく
今を大事に歩く

なぜって 山の子は
もうすぐ吹雪が来ることが分かるから
白い足跡が跡形なく消えても
真冬の純色と共に生きた証
心の形を残して歩く

 


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