盛岡タイムス Web News 2014年  3月  3日 (月)

       

■  〈幸遊記〉164 照井顕 「秋吉敏子の1980年イン陸前高田」


 「幻のピアノトリオ・30年以上の時を経て蘇る。ジョニー・ライブ」そう表書きされた手焼きのCDを、気仙郡住田町から昨年、開運橋のジョニーへ奥さん同伴で持参してくれた、千葉隆弘さん(57)。その音源たるや1980年に初めて陸前高田を訪れ、市民会館大ホールでコンサートを行った、世界の「秋(穐)吉敏子ピアノ・トリオ」の実況録音だった。

  僕の頭がパッとあの日の光景にたち帰った。そう、あの日PA(拡声装置)を担当したのが彼で、記念に録音しようとテープデッキをセットしたら、穐吉さんから録音は駄目ですと断られ、録音機材を撤去した。それでも、彼は機転を利かせて、会館の調整室に信号を送りカセットテープでプライベートに録音したものだった。(穐吉さんゴメンナサイ)

  33年ぶりにあの、歴史的で運命的だったコンサートの一部始終を聴いた僕は、体が震えた。何とすばらしい演奏だろう。聴衆はもちろん、穐吉さんも初体験の小さな街でのコンサートとあって大変な熱演!聴衆これまた大興奮、大歓声がホールに響き渡った“ただならぬ2時間”の生録。僕はそのテープが唯一津波から逃れたものであることなど、昨年10月NYから来日、来盛してくれた穐吉さんに正直に話し、CD化の許可を頂いた。

  ベース、ボブ・ボウマン。ドラムス、ジョーイ・バロン。このメンバーによるトリオ演奏のレコードはリリースされておらず、しかも当時渡米20年にして、トリオでの帰国公演は初だった。今となっては穐吉さん自身においても、ファンにとっては、なおさらに貴重な録音であったことが、調べてみて分かった。2014年4月16日、僕のレーベル・ジョニーズ・ディスクから、東京のレコード会社、ウルトラヴァイヴを通じて全国発売されることになった。CDの解説文は最高評論家の瀬川昌久氏。そして後藤誠一氏。ともに渡米50年日本公演の穐吉敏子スーパーカルテットのCD(SJ・日本ジャズ賞特別賞を受賞)制作をした時の、解説を書いてくれたお二人。

  その原稿をNYの穐吉さんにファクスしたら折り返し、「レコード・ノート結構ですと伝えて下さい」と返信があり、そのファクスには、7月スペインの「ライフタイム・アチーブメントアワード」を受賞。25日が授賞式。26日、サンセバスチャンでコンサートとある。僕も行って聴いてみたいナア!
(カフェジャズ開運橋ジョニー店主) 


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