盛岡タイムス Web News 2014年  3月  4日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉195 及川彩子 カーニヴァルのキアッケレ



     
   
     

 もうすぐ、春の足音が聞こえてきそうな日差しのアジアゴ高原にも、カーニバルの季節がやってきました。

  カトリックの国で、クリスマスと同様に重要な宗教行事は、5月の復活祭。その日を迎えるまでの40日間は、キリストが断食をしたことに倣い、人々も質素な生活を送ります。その前に、大いに食べ、飲んで、浮かれ騒ぎするのが、本来のカーニバル。

  カーニバルは、ベネチアや南米リオの仮装行列などが有名ですが、カーニバルとは、「肉よ、さようなら」という意味です。

  この時期、イタリアの食卓に欠かせないのが「キアッケレ」。「おしゃべり」という名の、黄金鮮やかな揚げ菓子で、2月に入ると早々に、街のお菓子屋のショーウインドーに一斉に並び始めます。まさに、イタリアのカーニバルの風物詩です〔写真〕。

  いくらでも食べられそうなキアッケレは、オリーブオイルや砂糖、卵を混ぜた薄力粉を寝かせ、1_ほどの薄い板状に延ばし、長方形にカットして揚げるだけ。手軽なので、期間中、毎日のように手作りする家庭も少なくありません。そして、揚げた生地が冷めたら、グラニュー糖を振り掛けて出来上がり。

  イタリアで、砂糖と言えば、グラニュー糖。日本で主流の上白糖はなく、イタリアに来たばかりの頃「調理用にもグラニュー糖を使うの」と驚いたことがあります。

  また、この国のグラニュー糖は、地中海原産のビート(砂糖大根)の精製糖で、粒の細かさが特徴。それは、コーヒーの泡の上にもしばらく浮いているほどの軽さで、キアッケレのサクサクした食感をも引き立てるのです。

  カーニバルの最終日には、宗教上、額に灰で、十字架の印をつける儀式が行われます。灰は「悔い改め」の象徴です。

  そして、浮かれ騒ぎのカーニバルとも、さようなら。肉とキアッケレで蓄えた力で、冬を乗り切るのです。
 


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