盛岡タイムス Web News 2014年  3月  4日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「三月」上斗米隆夫



汽車を降りて
駅前の小さな商店街を抜けると
轍の深い
粘土質の道が
冷たい雨の中を
山に向かって続いていた

だれもいない
トラックさえ通らない
遠くに見えた民家もなくなり
山はますます深くなっていき
それでも道は延々と先にのび

長くぬかった道だけが
ぼくが歩き続ける
理由になっていく

雨は降り続き
もう
これから先に
民家や
まして
ぼくが目指す
学校があるなんて
信じられなくなり

それでも
歩くしかなく
ただただ 歩く

いつからか道は下っていて
思いもかけず
目の前に
大きな流れが現れ
まぎれもない
早春の川が現れ

道は川に沿い
さらに向こうに
家々や
小学校が見え

ぼくは 出発を決意する

 


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