盛岡タイムス Web News 2014年  3月  7日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉189 草野悟 3年目の3・11、まだ3年



     
   
     

 2011年の3.11は「黒色」でした。どこもかしこも黒ずんだ泥がそこらじゅうに重なっていました。

  2012年の3.11は「灰色」でした。土煙と海にせり出すがれき、高く積まれたままでした。

  2013年の3.11は「黒紫色」でした。幾分色が付き始めた感じもしました。

  2014年の3.11は「土色と青」です。青空の下で泥にまみれたダンプカーが動き回っています。

  3年もたつと言った人がいます。あの時のままという人もいます。「もういい」と言った人がいなくなりました。これからだ、と前に進む地元の若者がいました。県外に行った時、もう津波の映像は飽きたと言った人がいました。原発のことを言わなくなった政治家もいます。前に向かって「地域のため」と必死に進んできた鉄道があります。仮設食堂から借金をして新しい店を開店させた人もいました。そのまま仮設食堂で、出るに出られず料理を提供し続けている人がいます。あと数年は赤字にならないと言った建設会社の人もいました。

  純な気持ちで一生懸命ボランティアを続けている学生さんたちがいます。その学生さんたちに、仮設住宅自治会長さんが「何も持ってこなくていい。顔だけ見せてくれればうれしい」と孫を見るように目を細めました。繋温泉が土石流の被害に遭った時、「あの時のご支援は忘れません」と支援物資を運んでくれた女将(おかみ)さんたちに1万円を送ってくれた人がいました。仮設住宅からです。女将さんたちは涙を流しました。盛岡の駅前の旅館で全国から応援物資を集め、沿岸へ運び続けた親子がいました。みんな「お互いさま」の気持ちで動いてきた3年です。

  何がいいのか悪いのか、その答えはまだまだ先です。次の世代の人たちがしっかりと検証してくれるでしょう。海の色はすっかり元通りに戻り、魚たちが伸び伸びと泳いでいます。遠くの友人が「なかなか行けなくてすみません」と手紙をくれました。忘れずにいてくれることが一番の気持ちです。「風化」という言葉が出てきています。させないパワーが必要です。まだ3年です。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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