盛岡タイムス Web News 2014年  3月  9日 (日)

       

■ 産業復興は今〈上〉 息の長い取り組み必要 谷村県中小企業団体中央会長 まちづくりを憂慮

 3月11日で東日本大震災から丸3年を迎える。県内の津波被災地のがれき処理は年度内に完了するが、高台移転や浸水区域のかさ上げなど、まちづくりはまだまだ。多くの人が仮設住宅での生活を強いられている。地域の活性化に欠かせない産業の再興も道半ばというのが現状だ。被災事業者らはたゆまぬ努力を続けているが、本格的な復興にはほど遠い。産業、経済の面から現状や課題などを聞いた。 (全2回)

     
  谷村久興県中小企業団体中央会会長  
 
谷村久興県中小企業団体中央会会長
 

 谷村久興県中小企業団体中央会会長(74)は東日本大震災津波から3年間、沿岸被災地の組合員らを訪ね、事業再開のためのグループ補助金活用などの相談支援活動を行った。内陸部の組合員などとも連携を図り、支援に力を注いだ。しかし、本格復興までは、息の長い取り組みが必要とみている。谷村会長はまちづくりへの動きが遅々として進まない状況を憂慮しながらも、地域中小企業組合のリーダーとして、被災地の早期復興に向け、今後もさらなる支援に力を入れる姿勢だ。

  ―3年目を迎えるが被災地復興の現状をどうみるか。

  谷村会長 当会は500組合から成るが、そのうちの64組合が被災し、事業を絶たれた。事業再開にこぎ着けられず、解散した組合もある。震災後1カ月経過してから、当会では被災地で移動中央会を実施した。以来、この2月まで被災各地で107回開催し、組合員の震災からの復興に力を入れてきた。共同店舗を立ち上げ頑張っている組合もある。新規に誕生した組合もあるにはあるが。

  現在、実態調査を行っており、正確な状況はまだ把握していないが、売り上げなどは復興前の半分ほどになった程度ではないか。がれきの撤去は進んだが、全体的に遅々として進んでいない。仮設商店などは建ってはいるものの、まちづくりへの動きはまだ見えず。復興を加速させるような施策を国や県に、継続的に実施してもらいたい。そうしないと次の展開が進まない。まだまだ本格復興まで時間がかかると痛感している。

  ―被災地の組合員はどのような状況にあるのか。

  谷村会長 ほとんどの組合員が、早期に盛り土し、商業施設、産業用地としての早急な活用や、道路などのインフラ整備などを見込んでいる。まちづくりが、計画通りに進むのかを心配している。用地取得もなかなか進まない。建設資材が高騰、人が集まらず人件費も高騰している。将来に不安を抱く組合員は多い。被災地から内陸部に避難した人が、果たして戻ってくるのか、心配している。人がいなければ、商売は成り立たない。商業者を取り巻く地域のコミュニティーもなくなった。高齢化や後継者難、人口の減少などで厳しさが続くと不安が募っている。仮設から脱出したい気持ちが強いものの、果たしてその後、本来の商売が可能なのかと心配している。このような気持ちを一刻も早く取り除かないといけない。

  ―中央会は、震災復興のためにグループ補助金の活用を積極的に支援してきたが。

  谷村会長 当会では、被災事業者の経営基盤の早期復旧・復興を最重要テーマとして、職員一丸となり、支援に取り組んできた。スタッフも増やし、申請手続きから認定後のフォローアップまで力を入れてきた。県内ではこの約3年間で、102のグループが補助金の活用を認可された。そのうち、当組合が支援し認可されたグループ数は43。事業再開への支援が進んだ。単独でなく、10社ほどを束ね組織化して支援するノウハウは、当中央会が長年蓄積してきた。組織化を進め、この難局を乗り切ることが、当会の役目。

  ―新たな組合も誕生した。

  谷村会長 この非常時に、やむを得ずやめざるをえない組合もあった。大変、残念ではあった。しかし、新たに19組合が、震災復興支援型として誕生した。これは、沿岸復興、地域経済の復興に向けた明るい希望の芽として考えたい。例えば、いわて希望の宿ネットワークは、旅行商品を企画。最近、沿岸部で再開したホテルへ誘客を図るなど、内陸と沿岸の連携強化にも及んでいる。また三陸パートナーズは、水産加工品の共同開発・共同販売などを目的に設立。そこで開発した「三陸の海の贈り物」が、今年度の県知事賞を受賞している。明るい話題であり、新たな組合には、今後の活動を期待したい。

  ―今後の中央会の活動は。

  谷村会長 被災企業は、仮設店舗やグループ補助金などを活用して事業をスタートし、前向きに動き出した所も増加したが、二重債務、資金調達難、人出不足、資材高騰、販路拡大などの課題を抱えている。沿岸市町村では、震災復興計画に沿い、土地区画整備などを進めることになろうが、県や国へは、よりスピードアップを図り、仮設店舗から本設へと移行できるよう働きかけたい。関連機関と連携を深め、復興からの再生に向け、今後も支援を緩めずに継続したい。
(聞き手・大森不二夫)


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