盛岡タイムス Web News 2014年  3月  16日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉58 菅森幸一 「オネヱサン」

     
   
     

 その昔、現在の七十七銀行の辺りを流れる小川に沿った地域を古川端と言い、ここに「オヤヱ(エ)サン」という素敵な伯母さんが住んでいた。オヤヱサンはわが家の遠縁にあたりジジのおばあさんと仲良しでジジもオヤヱサンさんが大好きだった。

  何しろ終戦直後の食うや食わずの時代のお正月、女の人がほとんどモンペの時代に自分で日本髪を結って年始に来たという女傑で、物事の是々非々を自分で的確に判断し明快な言葉で表現できる当時としては珍しいタイプの女性がオヤヱサンだった。

  古川端のオヤヱサンの家は道路より一段と高い所にあり、コンクリートの階段の鉄製の手すりがジジにとっては絶好の遊び場だったが、たまにオヤヱサンに見つかると「危ネガラ中サオヘレ」と優しく注意され腕白盛りのジジも素直に従ったものだ。

  オヤヱサンは「おかろ」と呼んだ長火鉢の前に座り長い煙管(きせる)でうまそうにたばこを吸っていて、当時は珍しい「九重」という甘いお菓子をごちそうしてくれた。

  「勉強すんだヨ」「親孝行すんだヨ」と繰り返される精神訓話を真剣に聞けたのはオヤヱサンの人柄なのか仙台銘菓の誘惑のせいなのかは今でも疑問だけれどネ。


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