盛岡タイムス Web News 2014年  3月  18日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉196 及川彩子 アルパの調べ


     
   
     

 先日、フランス国境に程近い北イタリアのアスティという街の音楽祭を訪ねました。3月から5月は、学校の学期末。ちょうどこの時期は、1年の集大成の意味もあり、音楽やバレエなど、子どもたちのさまざまな文化行事が目白押しです。

  「アスティ杯・若き演奏家のための国際コンクール」もその一つ。年齢別に、ピアノ、バイオリン、管楽器など、さまざまな楽器のソロ部門、室内楽部門、それにハープ部門があるのが特徴です。

  しかも、このハープ部門の評判が素晴らしく、かつ、参加する若者のほとんどが、日本発祥の音楽教育「鈴木メソード」出身だと聞き、興味を抱いたのです。

  ハープは、イタリア語では「アルパ」。日本では、一般的な習い事としては、まだ普及してないようですが、イタリアでは、バイオリンと並ぶ人気楽器の一つです。

  古代の壁画などにもみられるアルパの歴史は4千年。さまざまな技術革命を繰り返し、切れやすいガット弦からナイロン弦に変わったのが20世紀。弦の音の高低を替えるため、7本のペダルを踏み変える機敏な操作が要求される楽器なのだそうです。

  そのためか、コンクールの出場者のほとんどが男の子たち[写真]。体からはみ出る大きな楽器を肩にもたせ、両手、両足を駆使して紡ぎ出す音は、とてもしなやかです。

  また、誇らしいのは、この若き演奏家たちの多くが「鈴木メソード」育ちだということ。アスティ近くの文化都市トリノは、イタリア初の「鈴木メソード」始まりの地なのです。

  「音楽」を、赤ん坊のように、自然に繰り返し聞き、耳と感性から、言語のように学ぼうという趣旨で、バイオリニスト・鈴木慎一氏が始めたメソード(教授方法)は、今や欧米で盛んだと聞きました。

  このアルパを響かせる若者たちの熱演に、聴衆も大きな拍手を贈っていました。


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