盛岡タイムス Web News 2014年  3月  28日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉192 草野悟 三陸ジオパーク吉浜編


     
   
     

 2月の末、とても寒い早朝。大船渡市吉浜の海岸で旗を振っているのは「吉浜元気組」の千葉豪会長です。その前で楽しそうに笑っているのは、観光のプロ中のプロ、「旅の手帖」の元編集長の中村直美さんです。

  三陸ジオパークのツアー企画で不可欠の現地ガイドを評価する面々で、旅行代理店の教育旅行経験者、三鉄のツーリスト部門の責任者などが、気仙沼から大槌町まで、計6人のガイドさんの説明を聞きに行きました。

  「吉浜元気組」は、若手漁師10人で構成されています。ガイドは全くの素人です。漁船に乗って、高台移転を明治、昭和の大津波経験からすでに成し遂げていた「奇跡の村」を船上から視察します。船長は元気組の吉田友成君。説明役は千葉会長です。

  たどたどしい説明ながら明るく元気で、とても寒い海の上にもかかわらず、プロたちが真剣にうなずいています。この素朴で元気な姿こそ、三陸ジオパークの将来には必要なのです。

  震災前の写真と津波に襲われた現場の写真。生々しい記録が残っています。吉浜の漁船128隻中8隻が沖へと避難し無事、船を守りました。他は全滅です。8隻のうち5隻がこの元気組でした。3.11から3.12にかけての真夜中、仲間が声を出し合って励まし一夜を過ごしました。燃料の切れそうになった吉田船長は、元気組の先輩、小坪船長の弁天丸にロープをつなぎ、助けてもらいました。

  翌日、浜へ戻った時には「夢だ」以外、言葉がありませんでした。それでも若者たちは復活を目指し頑張っています。津波の侵入経路、その状態、そして先人の教えなど、仲間が集まって原稿を作りました。決して誇張せず、事実をしっかりと伝える千葉会長、吉田船長。聞き手のプロたちは改めてガイドの素晴らしさに拍手でした。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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