盛岡タイムス Web News 2014年  5月  3日 (土)

       

■  〈おらがまちかど〉12 山下浩平 紫波町彦部地区 いまだ謎「いっぺぇおろし」 会社員長澤聖浩さん 地域の伝承を聞き書き


     
  今後の研究活動への意欲を語る長澤さん  
  今後の研究活動への意欲を語る長澤さん
 

 紫波町大巻の会社員長澤聖浩さん(36)は、地域のお年寄りから話を聞き、昔の暮らしぶりや農家独特の年中行事、地域に伝わる伝説などを調べる聞き書きを約25年にわたり続けている。調査成果はB5判のノートで14冊に及び、それらをまとめた出版物も多数ある。

  聞き書きを始めたのは小学6年生のとき、長期休暇中の自由研究がきっかけ。最初は担任の教師に促され、祖父母から家、地域に伝わるいろいろな行事を聞き、自由研究としてまとめた。それからは中学、高校、大学、そして現在まで、対象を地域住民に広げて活動を続けている。

  1999年には「農家の年中行事」と題して、10年の成果を冊子にした。数々の行事の名前が連なるが、長澤さんが現在でも全く内容が分からない行事がある。それは「いっぺぇおろし」。

  長澤さんは「秋ごろか、年末の年取り関連の2説があることは分かったが、それ以上は出てこない。明治生まれの人でも内容は覚えてなく、とうとう分からなかった」と苦笑い。

  一方で「分からないことがあるからこそ、余計に没頭する。地域に伝わってきたものをまとめるのは難しいが、面白い」と小学生のころから現在まで、聞き書きを続けてきた理由を語る。

  研究で特に重要になったのは、明治から大正初期を経験した人たちの話という。「活動を始めたころは、昔のことをよく知っている明治から大正初期を生きてきた人たちの話を聞ける、ぎりぎりのチャンスだったと思う。あのとき、やっていて本当によかった」と振り返る。

  28歳の若さで町文化財調査委員に推薦され、現在まで活動している長澤さん。「これまで書きためたものを項目ごとにまとめたい。農家の年中行事については、当時は30冊の限定製本だった。反響もあったので、もう一度出版できればと思っている」と、今後の活動へ意欲は衰えるどころか、ますます高まる。
    (山下浩平)
 


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