盛岡タイムス Web News 2014年  5月  6日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「春の日に」齊籐駿一郎

 

 こうして
  未だ残雪のある野道
  街中を歩いていると
  ああ冬が過酷であればあっただけ

 はるだなぁ

 柔らかい日差しが
  あたりを賑やかにする
  山笑い
  風笑い
  水もすわくちゃな面差しで けたけたと笑ってい
  る

 ああはるだなぁ

 啓蟄の日も過ぎた
  陽の光
  光の粒を蕗の薹が食んで黄色く染まり
  鳥が喉チンコを見せて歌い
  楽器やのピアノはむやみに蓋を開けたがる

 ああ春だなぁ

 春のたのしいメロデーが流れる
  そんな日
  愚直なまでに正直に
  生き抜いた九十歳の翁が身罷った

 「ミナサン アリガタンスタ」
  の一言残して

 春のような笑顔がのこった



本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします