盛岡タイムス Web News 2014年  5月  8日 (木)

       

■  〈夜空に夢見る星めぐり〉353 八木淳一郎 星の一生


 春の夜空に輝く無数の星々。明るさも色も実にさまざまです。明るさの違いは、私たちからの距離が遠いか近いかにありますが、星自体の持つ本来の明るさにもよるのは言うまでもありません。大きさや若い星か年をとった星かによって明るさや色の違いも生じてきます。

  え?若い?年?いえ、あまり気になさりませぬように。人間社会でもそうです。高齢の方々が社会の成り立ちや世のならいを教えてくれるように、年をとった星々が宇宙の過去や未来、広がりといったものを知る上で私たちに大切なメッセージを送ってくれているのです。若者は先輩たちが敷いたレールの上に乗っかっているだけ、は冗談半分としまして、え?レール?そうです。星の世界にも実はレールがあるのです。

  では星の世界のレールとは。19世紀から20世紀にかけての、一人はデンマークの天文学者ヘルツシュプルング、もう一人はアメリカの天文学者ラッセル。この二人の名前を冠したヘルツシュプルング―ラッセル図(HR図)というものがあります。これは星の一生、あるいは進化というものを論じる上で大変重要なものとなっています。星の持っている本来の明るさ(絶対等級と言います)を縦軸に、星の色、これは星の表面の温度も意味しますが、これをスペクトル型というものに分けて横軸にしたもの。するとここに主系列という名のレールが出来上がるのでした。

  レールの上には誰もがご存じの星、スピカ、レグルス、ベガ、シリウス、フォーマルハウト、アルタイル、プロキオン、そして私たちの太陽など―これらは人であれば青年、壮年そしてやや熟年に相当するもので左上から右下に向かって若い順に並んでいます。太陽は働き盛りの50歳代といったところ。では、このレールに乗っていない星たちはどこに…。ベテルギウス、アンタレス、アルデバラン、アルクトウルス、カペラなど赤や黄色味を帯びた星々ばかりでなく、デネブやリゲルといった青白い色の星も、この主系列というレールから大きく外れたところにいくつかのグループをつくっています。みな老齢化した星たちです。

  核融合反応によって水素を燃焼させながら徐々にヘリウムという燃えかすを中心にため込んでいくのが星の生涯です。やがて水素を使い果たし、残ったヘリウムに火がつくと―その代表的な星ベテルギウスはテレビでも話題になっていますが、末期を迎えた現在、大爆発が近いと予想されています。

  大きな重い星ほど主系列のレールから途中で外れて、早いうちに高齢者の仲間入りをしていきます。生まれ落ちたときから星には定められた生涯というものがあるようです。

  人は星によって作られました。ただ、星が核融合反応という一生を送るように人類もまた核によって繁栄を謳歌(おうか)し核によって滅亡する、という道を歩まなければいいのですが。
(盛岡天文同好会会員)


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