盛岡タイムス Web News 2014年  5月  9日 (金)

       

■  顔の見える関係で防災 適切な避難指示・勧告に INS顧問の斎藤徳美氏 マニュアルに実効性付加を


     
   内閣府ガイドラインの課題を指摘し、INSの活性化を唱える斎藤徳美氏  
   内閣府ガイドラインの課題を指摘し、INSの活性化を唱える斎藤徳美氏
 

 内閣府は4月、災害時に市町村が避難勧告や指示を出す際の目安となるガイドラインを公表した。市町村に対し、避難勧告や指示の発令基準を定め、早めの対応を徹底することなどを求めているが、気象条件や地形により複雑に変化する災害について、明確な基準を示すのは、ほぼ不可能。実際には、災害が予想される時々に、関係機関や専門家の知見を集約して判断するしかない。長年、本県の地域防災に関わり、東日本大震災津波復興委員会の総合企画専門委員会委員長も務める斎藤徳美氏(放送大学岩手学習センター所長)は、実のある防災を進めるために「岩手ネットワークシステム」(INS)のような関係機関の「顔の見える関係」を再び強化する必要があると呼び掛ける。

  内閣府のガイドラインは、市町村の避難勧告などの基準策定の指針を示したもの。▽家屋内にとどまる避難も避難行動の一つに位置付ける▽「空振り」を恐れず早めに避難を促す▽避難準備情報を事前発令する―ことなどを盛り込んでいる。

  市町村の避難勧告判断基準の例として、水害の場合は「氾濫危険数位に到達」、土砂災害の場合は「土砂災害警戒情報の発表」などを挙げる。ところが、実際に避難勧告や指示を発令する場面では、その時の気象状況などから危険が及ぶ範囲を、市町村自らの責任で判断しなければならない。市町村が助言を求める相手として気象台や国土交通省河川事務所などを明示したものの、具体的なホットラインの構築方法には触れなかった。

  こうした内閣府の姿勢を斎藤氏は「実務を自治体に責任転嫁するもの」と問題視。緊急時に、市町村と関係機関が、密接にやり取りできる関係になければ、「マニュアルも絵に描いた餅になる」と憂慮する。

  INS岩手山火山防災検討会は、岩手山の火山活動の活発化を受け、関係市町村や県、国、気象台、自衛隊、ライフライン企業、報道機関、学識経験者らで発足した。「実務的な対策は国、県、市町村が連帯して責任を負い、地域の安全は行政・防災関連機関、研究者、住民が連携して、それぞれの役割を遂行することによって守られる」を理念に活動してきた。

  メンバーが代替わりし、ともすれば意識が薄れつつある。大震災津波を経験し、さらに予想しがたい自然災害が頻発する昨今の現状を顧みれば「INSの意義を再び問い直し、先駆的な取り組みを発展させるべき」と力を込める。

  10日午後2時から開かれる第33回岩手ネットワークシステム(INS)地盤と防災研究会、第69回INS岩手山火山防災検討会の中で、INS顧問の斎藤氏は内閣府の防災ガイドラインとINSの意義について講演。新たな勉強会の発足を呼び掛ける。盛岡広域市町村や県、盛岡地方気象台、岩手大、県立大、民間企業などから約50人が参加を予定している。
 


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