盛岡タイムス Web News 2014年  5月  27日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「うぐいす」 藤野なほ子 

 

朝起きると 屋根の上からきこえる
谷川に谺するような 澄んだひびき

公園も中津川も近い 裏通り
古い家が少しずつ消えて
駐車場がふえていく
垣根の中には
鳥の好きな木も 高い欅の木もある

思い出す 若い日の山での暮し
ひびき渡る谷川の音
林の中から朝の静寂(しじま)を破って
うぐいすの声がする
伸びかけの若葉に朝の陽が輝き
これから始まるはりつめた一日の気配が
みずみずしい木々の息吹きの間にひびいて
どこまでも 私の背中で躍っていた

山にいる鳥 と思っていた
長年雑踏にまぎれて暮してきた街は
時の流れの中で
いつか シャッターがふえ
裏には庭木が繁っている

うぐいすは目ざとく見つけてきたのだ
街の裏にひそむ 自然の気配
遠い山を越えて
谷川の流れを思わせる
澄んだ声をひびかせる
街に 季節の心をゆり動かす
どこにでも住処(すみか)はある=@と



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