盛岡タイムス Web News 2014年  5月  28日 (水)

       

■  〈花林舎流庭造り─よもやま話〉7 野田坂伸也 庭の設計の手順(1)

 

     
   昔の思い出話が2回続きましたので、今回はがらりと趣を変えて庭の設計の話をします。  
 
新緑の庭。赤い花はヤマツツジ
 

  昔の思い出話が2回続きましたので、今回はがらりと趣を変えて庭の設計の話をします。

  この連載の第1回に書きましたように、私は師匠について修業するという経験がなく自己流で庭を造ってきましたので、設計も自分で考えて自己流の設計手法でやってきました。今この文を書くために振り返ってみて、他の庭師さんがどんな考え方で設計するのか聞いてみたこともなかったということに気が付きました。親方について長年修業した庭師さんは、多分親方の庭造りの規則のようなものが頭の中にたたき込まれていて、その手法に従って庭の構想を組み立てるのだろうと想像できます。

  私の場合はそういうものがありませんし、熟練した庭師さんと比べて技術的にも作れるものも比較にならないくらい幼稚ですから、同じようなことをしていてはとてもかなわないわけです。そこで、とにかく合理的に考えた庭造りを目指そう、と思い付きました。(どういう意味かすぐには分からないかもしれませんが、しばらく我慢してお読みください)

  依頼された庭の内容(性格)や形は次の三つの条件によって形成されてきます。

  @施主の希望、思想、発注額A庭の予定地の広さ、形状、土や気候的な条件、庭にある既存の物(例えば庭石、樹木など)など物理的諸条件B設計者の力量、思想、経験など│

  これらをいかに無理なく組み合わせて「庭があって幸せ」と思える庭を造るか、というのが私の考える「合理的な庭造り」です。ここで、@の施主の項にもBの設計者の項にも「思想」が入っているのに気付かれたでしょうか。思想、というような大げさな言葉ではなく、「庭に対する好み」という言い方をしてもいいのですが、施主と設計者のこの思想がおおむね一致していないと、施主が満足する庭はできません。私は、「庭は生活の場の一部で、庭があって楽しい、庭があるおかげで元気になれる、庭は生きがいの源(少しオーバーかな)」と施主の方が感じてくださるような庭を造りたい、と思っています。幸いこれまで造らせていただいた方々はほとんど同じように考えておられましたので、出来上がったお庭に対して大きなご不満を抱かれた方はいらっしゃいませんでした。(と私が勝手に思っている場合もあるかもしれませんが)

  庭の設計の過程で一番難しくて決めにくいのは、しばしば施主の「思想」(どんな庭を造りたいのか、何のために庭を造るのか)を見極めることなのですが、十数年前と比べれば今はよほど楽になりました。と言いますのは、以前には施主が庭のイメージを描こうにも参考にする庭がほとんどなく、設計者に自分の希望をどのように説明するかがとても難しかったのです。今はオープンガーデンなどもあり、本もたくさんありますので、ずいぶん伝えやすくなりました。


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