盛岡タイムス Web News 2014年  6月  11日 (水)

       

■  〈花林舎流庭造り〉8 野田坂伸也 庭の設計の手順(2)


 庭の設計は私の場合、次のような手順で進めていくのですが、これをきちんと説明するのは結構面倒ですから、それは省略して分かりやすい事例でお話しします。

  【庭の設計の手順】

  @庭の性格を決める…体裁を整えるための立派な庭。庭いじりを楽しむ庭。友達とお茶を飲む庭。子どもたちを遊ばせる庭。快適な環境を実現する庭など。

  A地割をする…庭のどの部分はどんな使い方をする場所にするか。

  B動線を考える…庭の中をどのように動くのが適切か。園路だけでなく、テラス、芝生なども動線になる。

     
  シャクナゲは北国の庭木としてもっと植えたい  
 
シャクナゲは北国の庭木としてもっと植えたい
 


  C地形を考える…多くの庭予定地は平坦地ですが、高低をつけたり傾斜地を造ることによって、庭はより面白くなります。

  D構造物を設けるか否か。

  E植栽計画。
  F全体の詳細設計。

  これらを@からFに向かって順番に考えていくとは限らず、行ったり来たりしながら進むのが普通です。何度もやり直した方がいい設計になりますし、工事が進んだ段階で設計をやり直すこともしばしばあります。


  【事例1】

  施主はアメリカに留学されたときに、滞在地で塀のない開放的な庭に魅せられて、そのような庭を造りたい、という明瞭なイメージを提示されましたので、私はそれに従って基本案を造りそれを何度も討議して詰めていくという進行をたどりました。打ち合わせ回数は多かったのですが設計の過程で私が主として決めなければならなかったのは、洋風木造の住宅に似合う植物の種類を選択することでした。建物の前面は芝生になり、窓辺にバラがあるだけです。横のスペースはある程度樹木で囲ってクリスマスツリーも植えてあります。草花はほとんどありませんのでガーデニングの庭とは雰囲気が全く違います。

  【事例2】

  施主の希望は、(a)道路からの視線を遮る常緑樹を居間の前に植えること(b)門から玄関までのアプローチ(約10b)は森の中を通るような感じにすること−の二つで、あとはお任せします、と言われました。この二つの注文を聞いた瞬間に私の頭の中にはぱっとイメージが浮かび、設計図は描かずに運び込まれる樹木を現場で指示しながら次々に植えこんで主庭を造りました。ほとんど迷うことがありませんでした。こういう経験は初めてで、多分これからもないのではないかと思います。朝には何もなかった庭に、夕方には森ができていましたのでお帰りになった奥さまがとても驚いていらっしゃったのを思い出します。

  【事例3】

  ご主人が亡くなられた後、自分で庭いじりができる庭がほしいと切望された奥さまの要望で、日本庭園を壊して造った庭です。この庭には大中の庭石が10個近くと、多数の飛び石、土留め石がありこれらの石をどのように再利用するか、ということが新しい庭のデザインを思いつくうえで最大のヒントになりました。大きな石4個は半円形に並べて土留めとし、中央に小芝生を造りました。石の背後は山道風の小道を通し、高いところを一回りできるようにしたのが楽しいと喜んでいただきました。以前の庭にあった石は全て使用したのに全く違う庭になったのがみそです。


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