盛岡タイムス Web News 2014年  6月  19日 (木)

       

■  労災死が前年比5倍 5月までの1年に31人 建設業界が防止を強化 消費増税駆け込みの影響も


 今年の県内の労災死亡事故が、前年同期比で5倍の件数に上っていることが、岩手労働局のまとめで分かった。2014年は5月末までに15件発生し、前年同期の3件を1月中に上回り、上半期で昨年の年間総数に迫る勢い。背景には震災復興による建設業の人手不足に加え、全産業にわたる消費税増税前の駆け込み需要の影響を指摘する声がある。死亡事故の増加を受け、建設業労働災害防止協会県支部は、住宅建築の足場の安全についての研修を特に強化する。復興需要のピークや、来年秋の消費税10%へのアップを控え、建設業界は労働需給がさらに逼迫(ひっぱく)する恐れがあり、行政と一体になって事故防止に取り組む。

  岩手労働局のまとめによると、県内では03年6月3日の二戸管内の事故以来、今年5月29日の宮古管内の事故まで毎月、労災死亡事故が発生している。13年は6月から12月まで16件発生し、今年5月までの件数と合わせると、1年間で31人が労災事故死した。

  同期間の業種別の内訳を見ると、建設業が9件と最多で、事故の形は墜落・転落、激突、転倒など現場の不備に起因し、年代別には50歳から60歳のベテランに多くなっている。

  今年の内訳を見ると、業種別では建設業が5人で最も多く、商業4人、運輸交通業と製造業各1人、その他の業種4人。盛岡管内は建設業、運輸業、商業など6件発生した。

  岩手労働局労働基準部健康安全課の安倍賢課長は、事故増加の背景として「08年のリーマンショック後は件数が抑えられていたが、今年、急に増加した。原因を特定するのは難しいが、建設業は復旧復興で工事量が増え、工期が狭まり、人手が不足していることによることも考えられる」と話す。

  同局は労災事故の急増を受けて4月に死亡労災防止推進会議を開き、県内産業団体に事故防止を要請したが、以降も建設業など3件の死亡事故が発生した。5月から7月まで死亡労働災害防止強化期間として、各労働基準監督署を通じて労災防止の監督指導に当たる。

  今年、労災死亡事故を起こし、労働基準監督署の書類送検を受けた県央部の建築業者は、「亡くなったのはベテランで、従業員に事故が起こったのは悲しく残念なこと。自分たちの場合は復興需要の忙しさによるものではないと思っているが、今の建設業界は非常に多忙で、精神的にも疲労が積み重なっている部分が多いのではないか」と話す。

  建設業労働災害防止協会県支部の吉田多加司事務局次長は「住宅の場合は、消費税値上げ前の駆け込み需要による繁忙の影響も考えられる」と話す。昨年から木造家屋の建築現場で転落事故が多発したことから、18日から8月20日まで県内11カ所で「木造家屋等低層住宅工事における墜落防止対策研修会」を開く。同支部としては初めての試み。

  昨年の県内の木造家屋建築工事業での労災は91件で、死者のほか負傷者を入れると、震災前年の2010年に比べて2・4倍に増加しており、建設業全体に占める割合も19%から30%に拡大している。

  吉田次長は「岩手労働局や各団体と足並みをそろえて、死亡労働災害防止月間に合わせてリーフレットを作るなど、事故防止に努力している」と話し、事故防止に本腰を入れる。


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