盛岡タイムス Web News 2014年  6月  21日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 馬場恵 自分らしく生きて



 先月、「自分らしく生きて今、八十路」と題したフォーラムへ出掛けた。パネリストは社会の第一線で活躍した80代の女性ばかり3人。生き生きと人生を語る姿は、気負いがなく、爽やか。自分もこんなふうに年を重ねたいと思った。

  パネリストの一人、元県議の阿部静子さん(81)は病で半身の自由が利かなくなって10年。だが、歯に衣を着せない「静子節」は健在だ。少女時代は太平洋戦争の真っただ中。ちまたでは「静子部隊長」と一目置かれていたのに、通知表には「明るく積極的であるが、落ち着きがなく、やや礼儀に欠ける」と書かれた。

  おとなしい良妻賢母が評価された時代だから仕方がない。「でも、もし、小学校の先生が、礼儀に欠けるが、明るく積極的と逆転して書いてくれていたなら印象も違っていたのに…」。言葉一つ、物の見方一つで、人は後ろ向きにも、前向きにもなる。

  自分らしく生きる秘訣(ひけつ)は「明るく爽やかに、自分の意思を伝えること」。介護者に遠慮せず「こうしてほしい」とお願いすることもそうだが、長い人生を生きていく上でも大事な心掛けなのだろう。

  仕事、子育て、介護―。男女共同参画が進んだとはいえ、女性が自分の思い通りに人生を運ぼうと思えば、さまざまなハードルに見舞われる。男性以上に周りの協力も理解も必要だ。社会に物申すときにも明るく、爽やかに。一方で信念を曲げることなく主張し、行動するしたたかさ、強さが求められる。阿部さんが現役政治家で保守政党と切り結んでいたころ、選挙の第一声で「きょうは夫が赤飯を炊いてくれた」と持ち上げ、聴衆を沸かせていたのを思い出した。

  フォーラム後、再び阿部さんと電話で話す機会があった。夫があの世へ旅立ち、今は娘家族と同居しているという。「本当に良くしてもらって幸せ」と感謝を忘れない。フォーラムでは、教員時代に広島を訪問し戦争の悲惨さを胸に刻んだことも語った。最近、世の中がきな臭い。「あんまり声高に言うわけにはいかなかったけれど、やっぱり訴えたいのはそこ。平和、命の大切さ」。声に込められた力が伝わってきた。


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