盛岡タイムス Web News 2014年  6月  24日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉203 及川彩子 初夏の食卓の彩り


     
   
     

 ジャスミンやアカシアの匂いで、街全体が包まれる6月。バカンスを目の前に、心躍る初夏の食卓の彩りは、何と言っても、究極のアスパラガスの白とイチゴの赤。早朝の市場には、紅白の屋台が並びます[写真]。この旬の味なくして、イタリアの本当の夏は来ないのです。

  ここアジアゴ高原を車で30分ほどベネチア方面に下ると、バッサーノ・デル・グラッパ。アルプスからのブレンタ川が流れる、人口4万人の風光明媚(めいび)な古都です。

  名の通り名物は、ブドウの搾りかすを醸造させた焼酎「グラッパ」と、川が運ぶ上質の粘土で焼かれる陶器「バッサーノ焼」。

  そのバッサーノのもう一つの顔は、イタリア唯一の「保護指定原産地称号」を得たアスパラガスの名産地です。

  大量生産されないため、4月から6月にかけては、この町の市場にしか出荷されない希少価値を求める世界中のグルメたちで、町は大にぎわい。「アスパラ祭」も催されます。

  バッサーノ産は、車輪と言われる、茎が驚くほどに太い白アスパラが主流。細く裂いて生サラダ、揚げアスパラ、また半熟卵をつぶし、ゆでたアスパラに混ぜ、その独特の甘みと歯応えを味わうのです。

  そして、食後には真っ赤なイチゴの出番。春先には、スペインの輸入イチゴやシチリア産が多く出回りますが、初夏の地物が、やはり香りも艶も一番です。イチゴをのせたデザートピザや、すりつぶしてチーズと合わせたソースで食べるイチゴパスタ…季節限定メニューもさまざまですが、わが家では、イタリア風フルーツポンチのマチェドニア。

  イタリアには、イチゴをつぶしてミルクをかけて食べる習慣はありませんが、細かく切ってレモン汁とグラニュー糖を絡めるのです。

  紅白の彩りの料理をバッサーノ焼きの皿に盛り、そして食後のグラッパがあれば、町の人々は大満足。夏を呼ぶ食卓です。


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