盛岡タイムス Web News 2014年  6月  25日 (水)

       

■  〈花林舎流庭造り〉9 野田坂伸也 庭の地形


     
  山にマタタビの白い葉が目立つ季節になった  
 
山にマタタビの白い葉が目立つ季節になった
 

 庭を造るとき平らな土地は使いやすいという利点がありますが、単調で面白くないという欠点もあります。傾斜地や段差がある土地は使いにくい半面、変化があって面白い庭ができます。もっとも、私が手掛けた庭は、ほとんど造成宅地の庭ですから大半は平坦な地形でしたが、そのまま庭を造ったということはなく、必ず地形に変化をつけています。

  Aさんの庭は家に沿って細長く、幅が約5b、奥行きは12bほどでした。居間から見ると5b向こう境界線上にトレリスがあって、左右に長く庭があるという形です。花が好きで、このスペースのほとんどを草花が埋めていますから、どうしても単調になります。そこで5b幅の中間に30aほどの段差を造りました。つまり手前の幅3bは低く、向こう側の幅2bは30a高くしたわけです。この段差は石を置いて造りました。たったこれだけのことで庭の感じがずいぶん変わりました。少し広くなったようにも感じられました。段差を形成する石の眺めも庭のアクセントになっています。なお、塀ではなく格子状のトレリスで隣地と仕切ったのは、塀で区切ってしまうと幅が狭いので息苦しさを覚えるからです。

  Bさんの庭は幅5bほどで長さは10bほどです。ここでは塀もトレリスも作らず、道路との境に高さ60aの石垣を築き手前側に緩い斜面を造りました。居間から見ると家から幅3bほどは平坦地で、その向こうは向こう上がりの斜面になっています。斜面の上には木が植えられていて外の道路を通る人の視線を遮断しています。石垣が街路側から見た風景を趣あるものにしていて、強い印象を与えます。もし、このような庭のある家が何軒も続いていれば町の名所になるのではないかと思います。

  Cさんの庭は、以前家を他人に貸していたとき、日本庭園が造ってあったのですが、引っ越すとき石や木はその人が持っていき、運べなかった大きな石2個だけが残っていました。私が庭を造ったとき、大石2個は小型の重機では思うように動かすことができなくて、悪戦苦闘した末、当初考えていたのとは違う場所に違う姿で置かざるを得なくなりました。横になったまま動かせなくなった石は池を掘った土を寄せて小山の一部にしてしまいました。居間の前にはテラスと池と小山があり、小山の陰に隠れたもう一つの庭がある、という構成になりました。居間から見る庭と隣の座敷から見る庭がまるで違うのでびっくりしましたが、おうちの方はそれがいいと言ってくださいました。ありがたいことです。

  Dさんの庭は元は畑で、上・下の2段になっていましたのでそのまま利用し、中央部には石積みで段差を強調し、両側には2本の斜路を造って上の平地と下の平地と行き来できるようにしました。段差の石積みのところには日よけ棚とベンチを設置しました。

  Eさんの庭の斜面は掘り込んですり鉢型にし、底面の芝生に立つと周りの斜面に植えられているさまざまの植物が目に入るようにしました。

  このように、地形を考えることによって庭は楽しくもなり、退屈にもなります。狭い庭でも地形を工夫してみましょう。


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