盛岡タイムス Web News 2014年  6月  29日 (日)

       

■ 共有が前進の原動力 認知症家族の会「おでって」の集い 経験や悩みを話し合う場 看護、介護職の鎌田さんが主宰

     
  鎌田さん(左から3人目)を囲んで話し合う認知症家族会「おでって」のメンバー  
  鎌田さん(左から3人目)を囲んで話し合う認知症家族会「おでって」のメンバー
 

 「もしかして認知症?」。身近な人の異変に気付いたとき、どうすればいいのか。家族みんなが健康で過ごしているうちは、気に掛けることも少ないが、いざ、当時者となると知識は少なく、悩みは大きい。認知症家族の会「おでって」(鎌田豊子代表)は、月に一度、認知症患者の家族らが集い、ざっくばらんに話し合う場だ。互いの悩みや経験を共有することが前へ進む力になる。

  盛岡市中ノ橋通1丁目のプラザおでってにある、もりおか女性センター生活アトリエ。6月25日は、女性4人が鎌田さん(72)を囲んで懇談した。看護師、主任介護支援専門員の鎌田さんは、訪問看護ステーションの所長を務めるなど実務経験が豊富。現在は盛岡社会福祉専門学校の非常勤講師として若者も指導している。正しい知識を学び、悩みを分かち合うことで、認知症患者や家族が明るく過ごす手助けをしたいと、会を主宰した。

  参加者の一人、盛岡市に住む小川雅子さん(77)=仮名=は、花巻市に住む姉(84)の一家が気掛かりだ。姉は8年ほど前から徘徊(はいかい)が目立つようになり、耳も聞こえなくなった。80代の夫も介護認定を受けてデイサービスに通う。夫婦の面倒は、50代の独身の息子が一人で見ている。息子は介護のために仕事も辞めた。

  先日、小川さんが姉夫婦宅を訪ねると、ガラスが割れたまま。息子がストレスに耐えかねて、拳を振るったのかもしれない。心配だが、かいがいしく母親の下の世話をしている姿を目にすると「最後の親孝行と思って頑張っているのかも」と強く問いただす気にもなれない。

  この話を聞いた鎌田さんは「息子さんが耳を貸さないのなら、お義兄さんに、それとなくショートステイを勧めてみて。介護する人が一人になるだけでも、息子さんはずいぶん楽になる」とアドバイスした。

  小川さんは「この会に参加することで、介護保険制度の利用も考えることができた。みんなも同じような体験をしていると共感し、自分自身が開放された」と話す。

  会の参加者には認知症の家族を介護し、既にみとった人や、ヘルパーとして日々、高齢者と向き合っている人もいる。介護保険制度や医療制度の仕組み、認知症の原因となる疾患なども共に学ぶ。

  盛岡市の鈴木富代さん(72)=仮名=は、認知症が進む、難治性の正常圧水頭症の夫を6年間介護し、3年前にみとった。「医師には『年だから仕方がない。まあ、頑張って』と言われたけれど、どう頑張ればいいのか、全く分からなかった」と当時を振り返る。

  「介護のために自分も何か勉強したい」と、すがる思いで参加したのが家族の会。何でも打ち明けられる環境に救われた。子どもたちは、それぞれ独立し今は一人暮らし。「夫の介護の経験があるだけに、周りには迷惑をかけたくない。自分はどんな最期を迎えるのか。大きな宿題だ」と語る。

  「認知症は、患者本人が一番、不安の中にある。自尊心を傷つけることなく接するのが大事」と鎌田さん。「いずれはわが身にも起こるかもしれない。互いに悩みを分かち合うことで、前向きに過ごせるようになる」と会への参加を呼び掛ける。

  次回開催はプラザおでって生活アトリエで7月23日。参加無料。参加希望者は直接、会場へ。問い合わせは鎌田さん(電話080−5040−4253)へ。    (馬場恵) 


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします