盛岡タイムス Web News 2014年  7月  5日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 大崎真士 「分かりやすく伝えたい」


 講演会や対談などの取材をすると、記事にまとめるのに頭を抱える。60分、長いと120分にも及ぶ話の、どこを抽出すれば読者に「肝」が伝わるか。話の前半または後半の30分程度を聞いてまとめた方が、意外にすっきりとした原稿が出来上がる。大きな声では言えないけれど。

  最近、面白い講演を取材する機会に何度か恵まれた。全部聞いたのに、すぐ記事を仕上げることができた。

  啄木祭で講演した言語学者の金田一秀穂さん、野村胡堂あらえびす記念館開館20周年記念対談に登壇した作家の高橋克彦さん、公開ILC講演会に登場した東京大カブリ数物連携宇宙研究機構長の村山斉さんだ。

  有名、著名な方たちの話だから面白くて当然。果たしてそうだろうか。その道の権威や識者と呼ばれる方たちが、一般にも分かりやすく専門や学術的な分野を伝えられるかといえば、必ずしもそうではない。

  金田一さんも高橋さんもざっくばらんで庶民的な感覚にあふれていて、会場を自らの話に引き込む力があった。村山さんはTシャツ姿で宇宙の謎をユーモアを交えて語った。会場と楽しさや興味、関心を「共有したい」との思いが3人に共通していた。

  村上さんは最後にILCの建設実現へ「この戦いを応援してほしい」と締めくくった。専門領域だから「分かる人が分かれば良い」という姿勢がなく、重要だからと決して相手に押しつけない。限られた時間内で「どう分かりやすく伝えるか」が吟味されていた講演だった。

  自分の胸に手を当ててみる。記者会見で質問する自分の内容をレコーダーで聞き返すと、相手より長々と話したり、途中で何を聞きたいのか自分でも分かりづらかったり。事実や真意を導き出そうなど、おこがましいことだ。

  「取材する」ということは、相手から的確に聞き出す技術を磨き、大切なことを記事として分かりやすく伝えること。そして共有、共感してもらう。まだまだ磨き残しがある。
 


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